「トラブルがなく、満室が続く」ことは、アパートを経営するオーナーの1番の願いでしょう。
アパートのオーナーには、入居者が快適に生活するための「管理義務」があります。
「建物の管理義務」と「人に対する管理義務」です。
「建物の管理義務」は後回しにすると大きなトラブルに繋がる可能性があります。
また、アパートの立地や外観で印象が大きく左右されるので、入居者確保によっても建物の管理はとても重要になります。
この記事では建物の管理のひとつである「外壁塗装」について説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
アパートの外壁塗装をするコツと注意点
外壁塗装をするときのコツは、どんな雰囲気のアパートにしたいのかを具体的にイメージすることです。
外観のイメージに最も大きく影響するのは「色」です。
明るく爽やかなイメージ、エレガントなイメージ、モダンでスタイリッシュなイメージなど、人は色でイメージを連想します。
色選びは慎重に決めましょう。
塗料でも外観のイメージが変わります。
柄や模様をつけられるため、色を塗ったときよりも立体感が出ます。
重厚感や高級感を出したい方は、塗料にもこだわりましょう。
塗料選びは品質にも繋がります。
外壁は建物の一番外側で、雨や風から住んでいる人を守る役割があります。
強さやメンテナンスなどもしっかり比べて選びましょう。
色や塗料を選ぶには、知識と経験が必要です。
信頼できる施工会社に相談することが、一番失敗しない方法です。
相見積もりで自社施工の優良会社を選ぶ
失敗しない施工業者を選ぶには、どんなことに気をつければよいのでしょうか。
ハウスメーカーやリフォーム業者、工務店など、外壁を請け負う業者はたくさんあります。
納得できる業者を選ぶには、オーナーが何を優先するのかが重要です。
価格の安さや実績の件数、技術の高さ、接客態度など、オーナーがどのような施工にしたいのかで選ぶポイントが変わります。
「金額は安かったけど、ちょっとイメージとは違った」
「満足のいく仕上がりになったけど、予算を少しオーバーした」
重視するポイントは、譲れないポイントを決めておくことです。
- 信頼できる業者に見積もりの説明をしてもらう
- 工事中も安心して任せられる
- イメージ通りの仕上がりができる
- 金額も納得して払える
上記の4点をチェックポイントに、すべてをクリアできる契約が理想です。
安さで勝負する、丁寧な工事を売りにする、地域に密着していて信頼度があるなど、施工業者もカラーがあります。
価格が適正かどうかを知るためにも、相見積もりは大切です。
現地を見てもらい、明確な説明で、納得して払える優良会社を選びましょう。
火災保険や補助金・減税制度を活用できないか調べる
火災保険で外壁塗装の費用が賄えるかもしれないことはご存知でしょうか。
加入している火災保険の種類によって保証の内容もさまざまですので、マンションが加入している保険を調べておきましょう。
この時に注意したいのは「保証対象」と「自己負担額」です。
また、自治体によって補助金や減税制度があります。
自治体によっては補助金が出ないことがありますが、国が出してくれる助成金を利用することもできます。
外壁塗装は高額ですので、少しでも費用を抑えるためにしっかり調べましょう。
屋根と一緒に塗装をして費用を節約
外壁と同じように、屋根も10年でメンテナンスすることをおすすめしています。
外壁と屋根を同時に塗装すると、足場を組む作業が一度で済むので費用を浮かせることができます。
一度にかかる金額は大きいものの、全体で考えると同時施工のほうが費用を抑えることができます。
入居者だけではなく近隣住民にも早めに告知
外壁塗装の工事は、必ず事前に入居者に連絡しましょう。
数時間で終わる工事ではないですし、ベランダなど使用できなくなる場所も出てくる可能性があります。
いきなり知らない人が部屋の窓から見えるのは驚きます。
オーナーとの信頼関係を壊しかねません。
早めの告知は入居者だけではなく、近隣住民にも必要です。
トラブルが発生しないようにできるだけ早く知らせましょう。
入居者や近隣住民、オーナー、誰もが不快な思いをしないように、連絡はしておきましょう。
アパートの外壁塗装をおこなわないと何が起こるのか
アパートの外壁塗装をしないと以下の3つの問題が起こります。
- 外観がみすぼらしくなる
- 雨漏りが起こりやすくなる
- 建物自体の劣化が早くなる
それぞれ詳しく解説していきます。
外観がみすぼらしくなる
外壁の劣化は、とてもみすぼらしい印象を与えてしまいます。
入居者は汚い家には住みたくはありません。
また、みすぼらしい家にこれから住みたいと思う人もいないでしょう。
入居率を下げないためにも、建物の見た目(外壁)には気を使いましょう。
見た目が綺麗なアパートは、防犯率が上がりやすいと考えられます。
みすぼらしいアパートは手入れが行き届いていないと思われやすいので、いたずらや空き巣などのトラブルに繋がる可能性が高くなります。
雨漏りが起こりやすくなる
雨風に毎日晒されている外壁は、見た目にはわからなくても耐久性は少しずつ落ちていきます。
コケやカビなどでも外壁は傷みます。
傷んだところから雨などの水分が侵入しやすくなると、雨漏りが起こる可能性も出てきます。
雨漏りは、起こってしまってからでは手遅れです。
トラブルが起こってから工事をしては、入居者に多大な迷惑がかかります。
雨漏りが原因で電気製品が壊れたり、一時的にホテルに泊まらなければいけなかったりして、費用はオーナーが負担することになります。
また、退去する人が出てきても困ります。
余計なトラブルを起こさないためにも、早めのメンテナンスは必要です。
建物内部に雨が染み込むと、サビや腐食の原因にもなります。
建物自体の劣化が早まってしまいます。
建物自体の劣化が早くなる
外壁の劣化は、建物自体の劣化に繋がります。
外壁工事は、共用部やお部屋のリフォームよりも必要なメンテナンスです。
共用部や室内は生活していると目につきやすいので、住居者の方にも喜んでもらいやすいです。
しかし、人や建物を「守る」ための外壁塗装は何よりも優先して行わなければなりません。
建物が劣化したら、「守る」ことができなくなります。
生活が守れないアパートは、建て直すしかありません。
建て直しまでの年数が短くなれば、費用は莫大になります。
適切なメンテナンスをしていると建物は長持ちします。
外壁もメンテナンスをして、少しでも安全で綺麗な建物を長持ちさせましょう。
メンテナンスは早いほうが、補修が少なく予算も安くなるでしょう。
結果的にはメンテナンスをこまめに行ったほうが、費用が抑えられるのです。
アパートの外壁塗装をする時期を知る方法
外壁塗装はいつが最適なタイミングなのでしょうか。
外壁塗装をしてから10年程度が目安となります。
外壁に使われている塗料や、建物の立地などでも外壁の状態は変わります。
定期的に写真を撮って見比べてみましょう。
外壁の変化を見るのはとても大切なことです。
しかし、変化で塗装のタイミングを判断するのは難しいです。
詳しいメンテナンス時期を知るには、どうすればよいのでしょうか。
メンテナンスや新築から10年後
塗料によって耐用年数は8〜20年ありますが、平均して10年と考えられています。
それぞれの塗料の耐用年数は、塗料メーカーが出しています。
この耐用年数は機械で検証しているもので、実際の住宅に塗装した実験結果ではありません。
実際の耐用年数は、もう少し短いと考えたほうが良いでしょう。
外壁塗装の時期は、メンテナンスや新築から10年をひとつの目安としましょう!
外壁の劣化状況を確認する
耐用年数以外でも、下記の症状が出た時は外壁のメンテナンス時期です。
症状が出ていないかチェックしてみましょう。
チョーキング
外壁を撫でたときにチョークのような白い粉が手につくことを、「チョーキング」といいます。
茶色の壁がチョーキングしていたら、茶色の粉がつきます。
日本語では「白亜化(はくあか)」とも言い、業者は「粉ふいてる」という言い方をするかもしれません。
白い粉の正体は、紫外線や雨などで塗料の成分が粉状になってしまったものです。
外壁劣化の初期に起こる現象で、外壁の一番外側の塗膜が劣化しているサインです。
下地にまでダメージはないものの、耐久性や防水性の役割が弱まっている状態なので、放置すると劣化は建物内部まで進みます。
チョーキングは自然現象だけではなく、施工不良で起こることもあります。
チョーキングをチェックする場合は、南や西の太陽が一番当たる壁面で確認を行いましょう。
外壁の劣化には、太陽の紫外線が一番影響するからです。
ただ、塗料によっては劣化をしていてもチョーキングしないことがあります。
リシン吹き付け外壁やジョリパット外壁などは、何年経ってもチョーキングしません。
その場合は別の方法で劣化を見極める必要があるので、注意してください。
塗装がはがれている
塗装のはがれを見つけたら対処が必要です。
見た目にも悪いですし、はがれが大きくなる前にどうにかしたいと考えます。
ホームセンターには外壁の補修するための、工具や塗料も揃っています。
しかし、DIYで行う補修はあくまでも応急処置にしかならないと考えてください。
また、外壁塗装自体がとても危険ですので、安易にDIYをするのはやめましょう。
塗装のはがれを放っておくと、範囲は広がっていきます。
下層の深いところまではがれて、どんどん内部がむき出しになっていきます。
塗装がはがれた部分は保護能力がない状態なので、建物の劣化に繋がります。
外壁の塗装をする場合には、ひとつひとつのはがれを補修してから行います。
手間も時間も費用もその分かかりますので、見つけた時点で早めに対処しましょう。
塗装のはがれの原因は、単純に塗装の問題と言い切れない場合があります。
塗装よりもさらに構造上に問題があったり、そもそも塗装した業者の施工が悪かったりする場合もあります。
何が原因かを見極めるためにも、外壁塗装のプロに相談しましょう。
ひび割れしている
外壁の劣化のなかで、一番危険性が高いものが「クラック(ひび割れ)」です。
髪の毛のような細いひび割れは「ヘアークラック」と言います。
「ヘアークラック」は塗料の表面の塗膜に入ったひび割れで、経年劣化などで起こります。
塗膜の下層までのひび割れや亀裂を「クラック」と言います。
「ヘアークラック」より深刻なひび割れで、より危険度が高くなります。
クラックはほかにも種類があってそれぞれ原因や対処法が違うので、プロに見極めてもらう必要があります。
クラックがあると雨漏りやカビの発生しやすくなります。
また、ヒビに害虫が卵を産み付けるなど衛生面でも問題が起こる可能性が出てきます。
何よりも建物自体の強度が下がります。
自然災害などが起きた場合、クラックなどの弱い部分から大きな被害が出ることが予想されます。
ひび割れを見つけたら、なるべく早くプロに相談しましょう。
転居者の内見が多い時期は避ける
外壁塗装は大掛かりな工事です。
足場も組んであり、ベランダも養生していたら窓を開けることもできません。
入居希望者の印象が悪くなる可能性があるので、内見が多い時期は避けましょう。
アパートの外壁塗装にかかる費用相場と工期
アパートの外壁塗装にかかる費用と工期を以下で解説します。
外壁塗装にかかる費用の目安
費用は塗装の種類や付帯工事によるので、下記の金額は目安になります。
- 2階建て:150〜300万
- 3階建て:200〜400万
塗装費用の内訳は、塗料代、足場代、人件費の3つの費用に利益が足されたものになります。
見積もりでしっかり確認しましょう。
外壁塗装にかかる工期
天候に大きく左右されますが、2〜3週間をみておきましょう。
足場設置や高圧洗浄、下地処理、養生作業、塗装、乾燥までの作業を行います。
養生すると窓が開けられなくなるので、入居者の方には注意を促す必要があります。
洗浄や下地処理、補修は外壁の状態によって、時間がかかる場合があるので、余裕をもって工期は長めに考えておきましょう。
アパートの外壁塗装をした工事事例を紹介
エスケーハウスが工事をしたアパートの工事事例を紹介します。
築年数30年前後のアパートで、250万円程度の費用で1ヶ月かけて外壁塗装を下地例です。
工事のきっかけは、前回の塗装から13年が経過していることでした。
外壁には高品質なシリコン塗料「エスケープレミアムシリコン」を使いました。
また、屋根も劣化していたためガルバリウム鋼板という金属素材を重ね張りしています。
お客様から感謝の声も寄せられており、依頼してよかったとの評価を受けました。
アパートの外壁塗装における経費の計上方法
アパートのメンテナンスにかかった外壁の塗装費用は「修繕費」として経費を計上できます。
しかし、目的や内容によっては「建物(減価償却)」になる場合があります。
一括計上(修繕費)と減価償却(建物)、どちらの形で処理するかで、税金や資産としての価値が変わるのでしっかり調べる必要があります。
一括計上と減価償却の違いは、年度内として一括で処理するか、複数年に分けて処理するかが大きな違いです。
修繕費として一括で経費計上したほうが、税金を減らせる可能性があります。
反対に経費が多いと計算上の収入が減るので、銀行から融資を受けたい場合などは不利になる可能性があります。
後から調整できるのは、減価償却になります。
それぞれ条件があるため、目的や工事の時期などは塗装業者に相談しながら決めましょう。
一括計上(修繕費)の条件
通常の維持や管理などのメンテナンス、補修などの原状回復のための塗装は修繕費となります。
災害によって壊れたところを補修した場合の塗装も、修繕費になります。
減価償却(建物)の条件
建物の価値を高めるもの、耐久性が増すものは減価償却になります。
外壁のデザインを変える、耐久性のよい塗料で塗装するなどが目的の塗装です。
まとめ:アパートの外壁塗装は業者を活用して費用を抑えよう
アパートの外壁塗装は、アパートを経営するオーナーにとって重要な管理義務のひとつです。
素人では判断できないことが多くあるので、面倒に思ったり不安になったりするかもしれません。
その不安を解消するためには、
いまの外壁の状態を総括的に判断できるプロの業者に相談することをお勧めします。
なお、アパートの費用は経費にできます。
以下では、アパートの経費計上と減価償却についてふれていますのでしっかりとチェックしておいてください。