「マンション工事の足場の単価相場っていくら?」
「足場の費用を安く抑える方法ってないの?」
上記のような悩みを持っている方、いらっしゃるのではないでしょうか。
マンションの大規模な工事には、足場が必要です。
ただこの足場は意外と費用が高く、直接工事費以外の大きな出費となります。
この記事では、建築士と施工管理の資格者が、あなたの疑問やお悩みを解決します。
具体的には、以下の疑問を解消します。
- マンション工事の足場の単価相場は?
- 足場の費用を安く抑える方法は?
それでは詳しく見ていきましょう。
マンション工事の足場の単価相場は?
1平方メートルあたり700〜1,200円が足場の一般的な相場となっています。
マンションの足場単価は面積で計算することが多いです。
足場面積は、マンションの外周と高さを用いておおよその数字が出せます。
相場は700〜1,200円ですが、マンションの階層が高い場合は、より高額となる傾向があります。
高さがある分、倒壊防止策を講じる必要があったり、丁寧な作業が必要になったりするからです。
見積もり業者によっては、足場に加えて飛散防止用シートの価格が加えられている場合もあります。
飛散防止用シートは工事に使う道具や破片などの落下防止のために設置する安全措置です。
飛散防止用シートの価格を見積もりに入れるかどうかは会社によってまちまちなので、事前にチェックしておきましょう。
マンション工事の足場費用を出すための計算式
足場の費用は、「足場架面積×足場単価=足場費用」で求めることができます。
足場架面積とは、足場の外側の面積のことで、「(マンションの外周+8メートル)×高さ」の式で出すことができます。
それに足場の単価をかければ、足場の総費用が出せます。
足場単価は、業者によって変わりますが、1平方メートルあたり700〜1,200円が平均です。
では、上記の式を使って足場の費用を出してみましょう。
マンションの外周が100メートルで高さが9メートルの場合、(100+8)×9=972メートルが足場架面積になります。
それに、足場単価の700円をかけて計算します。
972メートル×700円=680,400円が、足場の設置費用です。
マンション工事の足場費用を単価相場よりも安くする方法
マンション工事の足場費用を抑える方法は2つあります。
- 複数の業者で相見積もりを取る
- 無足場工法を使う
- 他の修繕とまとめて行う
それでは具体的に見ていきましょう。
複数社に相見積もりを取る
複数の工事会社に見積もりを取って費用を比較することで、安く施工してくれる業者を見つけられます。
費用を比較するには、最低でも3社に見積もりを取ることをおすすめします。
ただ、安く見える見積もりの中には足場のメンテナンス代金や解体費用などの諸経費を加えていない場合もあります。
注意して見積もりを比較しましょう。
管理会社に工事を任せている場合は、マンションの管理組合から直接、工事会社や専門家に相見積もりを依頼することをおすすめします。
そうすることで見積もりを取りつつ管理会社への手数料を抑えることができます。
無足場工法を使う
無足場工法を使うことで、足場の費用を抑えることができます。
無足場工法とは、屋上に設置したクレーンから作業デッキを吊るしたり、作業員をロープでつるしたりする工法です。
足場を組まないので、足場費用を抑えたい場合や、高層マンションで足場を組めない場合などに利用します。
他にも、窓拭きや外壁の簡単な修繕など、足場を組むほどではない軽い作業では、無足場工法が使われる場合が多いです。
ただ、工事箇所が大きい場合やロープやクレーンを設置する場所がない時などには、この無足場工法は使えないので注意が必要です。
他の修繕とまとめて行う
マンションの修繕や改修などの工事を行う場合は、必要な工事をまとめてするのがおすすめです。
マンションの改修工事は、防水層やシーリング、タイルの改修など、内容が多岐に渡ります。
マンションは大きな建物なので、メインの工事以外の部分でも多額の費用がかかるものです。
工事のたびに足場を組めば、それだけコストがかかることになります。
そのため、必要な工事をまとめて行い、何度も足場を組む必要をなくせば、結果として工事費用を抑えることができます。
マンションやビルのような大きな建物は、大規模修繕工事として計画的に行うのが一般的です。
気になる箇所がある場合は、大規模修繕工事に合わせて修繕するようにしましょう。
マンション工事における足場の役割
マンションやビルの足場はなぜ必要なのでしょうか?
マンションは一般的な住宅に比べて大きいから、というのも理由のひとつですが、それだけではありません。
足場を使うメリットやその役割には、
・作業の効率化
・安全性の確保
・近隣への配慮
なども含まれています。
以下では、マンション工事で足場を設置する3つのメリットについて解説します。
作業の効率化
足場を設置することで、高所でも移動がしやすくなり、作業が効率的に進みます。
また、手元の作業に集中できるので、丁寧な施工が実現するでしょう。
工事がスムーズに進めば、工期を短くできる可能性もあり、結果的に費用を抑えられる可能性も出てきます。
安全性の確保
足場は、マンションのような背の高い建物の工事を、安心安全に行うために欠かせません。
マンションやビルの工事では、高所での作業は避けられず、作業員や職員は常に危険と隣り合わせです。
しかし、足場を設置すると、足元に安定感が生まれるので、転落や墜落のような作業中の事故を防げるようになります。
足場が設置できないケースもありますが、マンションやビルであれば、結果使わなくても設置するメリットのほうが多いといえるでしょう。
近隣への配慮
足場の設置は、近隣への配慮にもなります。
足場があると、養生シートが設置できるためです。
養生シートは、塗料の飛散や、工具、資材などが落下し、通行人や車に当たるのを防ぎます。
職人や作業員だけではなく、住民や通行人の安全を守るためにも、足場はあるに越したことはないといえるでしょう。
マンション工事の足場の種類
マンションの工事に使う足場には、6種類あります。
工事現場でよく見かけますが、種類や特徴については知らない方が多いのではないでしょうか。
ここではマンション工事でよく使われる、
1.単管足場
2.吊り足場
3.枠組足場
4.くさび式足場
5.先行足場
6.移動式足場
について、それぞれの特徴を解説します。
1.単管足場
鉄パイプを組み合わせて作る足場で、ホームセンターで購入できる部材で作ることができます。
強度や安全面で他の足場に劣るため、高層マンションの工事には不向きとされています。
しかし、狭い空間でも設置できるので、低層マンションや密集地にある住宅の塗装工事に用いられる足場です。
2.吊り足場
作業床を吊り下げる形の足場です。
足場を組み立てることが難しい高層マンションで、よく取り入れられます。
地面に足が着いておらず不安定で、落下のリスクがあり、他の足場に比べて危険が伴います。
設置する現場には、講習を修了した「組み立て等作業主任」を置かなければなりません。
3.枠組足場
最も一般的な形をした足場です。
15階建て45mまで施工できるので、マンション工事にも対応できます。
単管足場と似ていますが、より強度があって頑丈、軽量で組み立ても簡単です。
しかし、大掛かりな足場なので、使用する部材が多く、設置にはある程度のスペースが必要になるでしょう。
4.くさび式足場
凸と凹の金具をハンマーで打ち込み、部材同士をつなげて作ります。
低中層の建物に使われることが多い足場で、短期間であれば高層の建物にも使われます。
ハンマー1本で組み立てることができるので、組み立ても解体も簡単なのが特徴です。
5.先行足場
足場の組み立てや解体に先行して、手すりを設置する工法です。
先に付けることで、転落事故のリスクを減らせます。
絶対に必要というわけではないので、設置する場合は通常の作業工程にひと手間かかります。
しかし、作業員や職人の安全のためには、設置するほうが賢明です。
6.移動式足場
キャスターが付いた足場で、手で押して移動させながらの作業が可能です。
天井や壁の仕上げを効率的に行えます。
マンションやビルの塗装、空調、照明といった設備の設置やメンテナンスに幅広く使われており、ひとりでの作業にも向いています。
マンション工事の足場設置の流れ
最後に、マンション工事における足場設置の流れと、工期を簡単に説明します。
これからマンションの修繕や塗装などの工事を行う予定のオーナーさんは、ぜひ参考にして予定を立ててみてください。
1.住人や近隣に告知
まずは、工事を行う旨をマンションの住民や近隣に告知しましょう。
告知の方法は、案内を掲示板に貼り出したり、一軒一軒にポスティングしたりします。
告知の内容は、工事を行う日時や期間、日当たりが悪くなること、工事中は騒音が発生する場合があることなどを書くと安心です。
また、足場を設置するスペースの関係で、駐車場を利用できなくなるケースがあります。
その場合は利用者へ個別に連絡し、代わりの駐車スペースを案内するようにしましょう。
2.足場の設置
告知が済んだら、足場を組み立てていきます。
足場の設置にかかる日数は、マンションの戸数で変わります。
50〜100戸のマンションなら、15〜20日かかるのが一般的です。
3.養生シートを張る
足場が組み終わったら、養生シートを張っていきます。
養生シートは、塗料の飛散を防いだり、工具や資材の落下を防止したりする役割があります。
また、遮音性が高い養生シートを使えば、騒音防止にも役立つでしょう。
工事を安全に進めるために欠かせないアイテムです。
4.足場の写真を撮る
業者の中には、現場やできあがった足場の写真を撮り、本社へ報告します。
記録にもなりますが、クレームがあった際の対応に利用することもできます。
5.工事開始
足場設置後の清掃を行い、メインの工事に入ります。
6.足場の解体
工事が終わったら、足場を解体します。
7.現場の清掃と最終チェック
解体後は、足場周辺にゴミや部品が落ちていないか確認し、清掃を行います。
建物に傷が付いていないかも、併せて確認しましょう。
何もなければ、これで工事は終了です。
まとめ:マンションの足場の単価をおさえて工事をしよう
足場の面積の出し方や単価の相場をおさえて、マンションの工事をしましょう。
また、いくつかの業者に相見積もりを取ることも大切です。
その際には、足場だけの価格なのか、飛散防止用シートやメンテナンス代金、解体費用なども含んだ価格なのかを慎重に見極めましょう。