「屋上防水の耐用年数ってどれくらい?」
「屋上防水の寿命を延ばす方法ってないの?」
上のような疑問をお持ちの方、いらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、建築士の有資格者が屋上防水における疑問を解消します。
具体的には以下の内容をご紹介します。
・屋上防水の耐用年数
・屋上防水の寿命を延ばす方法
この記事を読んで、屋上防水の寿命を延ばして長く使う参考にしてください。
屋上防水の耐用年数はどれくらい?
屋上防水の耐用年数は、屋上防水の種類によって異なります。
ここでは具体的に、以下の屋上防水の耐用年数についてご紹介します。
・シート防水
・アスファルト防水
・ウレタン防水
それでは具体的に見ていきましょう。
シート防水
シート防水の耐用年数は、一般的に10〜15年と考えられています。
シート防水とは、屋上の下地にゴムや塩化ビニールシートなどのシートを接着剤で貼り付ける防水工法です。
シートを接着剤で貼り付けるだけの工法なので、施工しやすく工期が短いメリットがあります。
また、他の工法よりシートが安価なので、コストを抑えて施工することができます。
アスファルト防水
アスファルト防水の耐用年数は、一般的に15〜30年と考えられています。
アスファルト防水は、屋根の下地にアスファルトを浸透させた防水用シートを貼り、その上からコンクリートで抑える工法です。
防水層を厚くできるので防水性能が高く、耐用年数も高いのが特徴です。
その反面、施工にかかる費用が他の工法と比べて高く、工期も長くなりやすいデメリットがあります。
また、重量があるので木造の住宅や小規模な建物には向いていません。
ウレタン防水
ウレタン防水の耐用年数は、一般的に8〜10年と考えられています。
ウレタン防水は、屋上の下地の上にウレタンの防水剤を塗っていく防水工法です。
屋根形状に合わせて防水塗膜を塗っていくので、複雑な形状の屋上にも対応できる特徴があります。
安価で施工できる反面、耐久性が低くトップコートの塗り替えなどメンテナンスが欠かせません。
屋上防水の劣化症状
屋上防水の劣化症状には、以下の5点があります。
・ひび割れ
・膨れ
・水溜り
・雨漏り
・雑草が生える
以上の症状が出てきた場合は、屋上の防水層が古く、傷んできたサインといえるでしょう。
見つけたら、早急に状態のチェックや補修を行ってください。
ひび割れ
防水層の上の押さえコンクリートの表面や、防水層そのものにひびが入る症状です。
コンクリートにひび割れが起こる原因は、
・乾燥収縮
・凍結融解
・中性化
などが挙げられます。
防水層は、それぞれの種類でひび割れを起こす原因が異なります。
ウレタン防水は、紫外線や雨などの外的な要因、施工時の防水膜の乾燥不足が原因で起こるケースがあります。
シート防水の場合は、シートの劣化や外的要因による膨張や収縮が引き金です。
アスファルト防水は、継ぎ目が開くことがあります。
膨れ
シート防水やアスファルト防水の継ぎ目、ウレタン防水の塗膜に起こる症状です。
原因は湿気で、設置から時間が経っているほど症状がよく出るとされています。
シートを被せるタイプの防水では取り替える方法もありますが、ウレタン防水の場合は通気緩衝工法を用いて防ぐことも可能です。
通気緩衝工法とは、特別な通気シートを張る方法で、通気シートに脱気筒を設置して湿気の逃げ道を作り、膨れを防ぎます。
水溜り
屋上の床が歪んだり、施工不良で起こったりする水溜りは、防水層を傷め、雨漏りを起こす原因になります。
対策としては、シートを重ねて勾配をつけて水がたまらないようにすることで防げます。
雨漏り
防水層の劣化症状を放置すると起こるのが、雨漏りです。
ここまで劣化症状として紹介したひび割れや膨れ、水溜りは、改善しないと雨漏りにつながります。
雨漏りは、建物や設備を腐らせることもあるので、放っておくのは危険です。
しかし、雨漏りの発生箇所や原因を突き止めるのは難しいため、補修するとなると防水をやり直す必要があります。
雑草が生えている
排水溝周りや目地に土が溜まると、雑草が生えてくることがあります。
無闇に抜くと防水層を傷つける恐れがあるため、業者に依頼し対応してもらうといいでしょう。
こまめに排水溝周りや屋上の清掃をして、土やゴミなどがたまらないようにしておくと安心です。
屋上防水の耐用年数を延ばす方法は?
屋上防水は常に雨風にさらされるため、どうしても劣化が進むのが早いです。
しかし、お金のかかることなので、どうにかして耐用年数を延ばしたいことでしょう。
以下では、屋上防水の耐用年数を延ばす2つの方法をご紹介します。
ひび割れや膨れは早めに修繕する
屋上防水にひび割れや膨れ、めくれなどが発生していたら、範囲が小さいうちに早めに修繕することをおすすめします。
ひび割れなどは雨水が浸入しやすく、雨漏りの原因となったり屋上防水の劣化を早める原因となったりします。
定期的にセルフチェックをして、傷が小さいうちに早めの修繕をしましょう。
トップコートのメンテナンスをする
屋上防水の耐用年数を延ばすには、トップコートのメンテナンスも欠かせません。
トップコートとは、屋上防水の上から塗布する保護材のことです。
塗布することでトップコートが防水層を守ってくれるため、屋上防水の劣化を遅らせることができます。
トップコートは、紫外線で劣化して効果を発揮しなくなります。
およそ、3〜5年でメンテンスが必要となるでしょう。
屋上防水を保護するために定期的にトップコートを塗布して、屋上防水のメンテナンスを行いましょう。
ドレンの清掃
ドレンの清掃は、定期的に行うようにしましょう。
ドレンとは、屋上や陸屋根の雨水や汚水などを排水するための管や溝、そのほかの部品のことを指します。
ドレンに土やゴミなどが詰まると雨水が溜まり、防水劣化が起こり水漏れの原因になるのです。
また、ドレンから雑草が生えている場合は勝手に抜かず、業者に依頼してください。
ドレンを壊す原因になります。
ドレンが詰まっていないか調べて、きれいにするようにしましょう。
屋上防水の費用相場
屋上防水の工事にかかる費用相場を解説します。
・シート防水 3,500〜15,000円/平方メートル
・ウレタン防水 4,000〜12,000円/平方メートル
・アスファルト防水 4,000〜22,0000円/平方メートル
屋上防水工事の費用相場は、だいたい3,500〜22,000円/平方メートルといえます。
屋上防水のメンテナンスを成功させるための5つのコツ
屋上防水の耐用年数を長くするためには、メンテナンスが欠かせません。
ここでは、屋上防水のメンテナンスを成功させるコツを、
1.屋上防水の経験や実績を持つ業者を選ぶ
2.見積もり内容がしっかりしている
3.相見積もりをする
4.自社で施工してくれる業者を選ぶ
5.価格が相場費用からかけ離れていない
という5つに絞って詳しく解説します。
1.屋上防水の工事経験や実績を持つ業者を選ぶ
屋上防水の工事に限らず、外壁や屋根などのリフォームやメンテナンスを業者に依頼する場合は、工事の経験や実績が豊富な団体を選びましょう。
ホームページを見ると、専門にしている工事の種類や実際に施工した実績などを紹介しています。
屋上防水の工事の依頼先を迷っている人は、ホームページやクチコミなどを参考に、実績がある業者を選びましょう。
2.見積もりの内容がしっかりしている
見積もりは、施工内容や費用ばかりに目が行くかもしれません。
しかし、見積もりの書き方にも注意してみましょう。
工事の名称や仕様、個数やサイズ、単位、単価、金額などが端折られず書かれているかに注目してみてください。
工事内容に具体性がなかったり、使う道具や塗料のメーカーや個数、金額などが一式としか書かれていないなど、手抜きが見られる場合は注意です。
実際に依頼したい業者を見つけたら、まずは見積もりを取って確認してみましょう。
3.相見積もりをする
見積もりを取る場合は、1社だけでなく、複数の業者から取る相見積もりがおすすめです。
1社だけだと費用や工事内容が適切かどうかわかりませんが、2〜3社比べることで、同じ工事を適正価格でしてくれる業者を選べます。
工事の価格や内容、品名などを見比べてみましょう。
4.自社施工で工事してくれる業者を選ぶ
屋上防水の工事は、自社で施工してくれる業者を選びましょう。
業者の中には、自社に職人が在籍しておらず、下請けに外注するケースがあります。
問題としては、中間マージンが発生するため、適正価格で工事してもらえないことと、職人側に丸投げになって品質管理ができない場合があるということです。
下請けに外注するというのは決して悪いことではありませんが、費用の面や工事の質などを考えると、自社施工の業者に依頼するのが安心でしょう。
5.費用が高すぎたり安すぎたりしない
見積書に記載されている費用相場が妥当かどうかもチェックが必要です。
法外に高く見積もられている場合は詐欺の恐れがありますし、低すぎると手抜き工事をされる心配があります。
まずは、同じ工事内容の実績があるほかの業者ではどのくらいで見積もっているのかを調べ、先ほど紹介した相見積もりをして見比べてみると安心です。
屋上防水の施工事例
実際にエスケーハウスで行った、ゴムシート防水を塩ビシート防水に替えた施工事例を紹介します。
シート防水の改修事例
ゴムシート防水層が破れてめくれた箇所から雨水が入り、雨漏りを引き起こしていました。
まずは現状を知るための現地調査を行い、室内、そして屋上の様子を確認します。
室内では、長らく雨漏りが放置されている状態でシミを作っていました。
放っておくとカビになり、建物だけでなく、人体の健康に影響します。
屋上ではシート防水がめくれているほか、破れた箇所の補修をコーキングで行った跡があったり、ドレン周りには泥と水が溜まっている状態でした。
工事はまず、既存のシート防水を撤去するところから始めます。
今回は「機械的固定工法(専用の取り付け器具でシートを取り付ける工法)」での改修を行う予定なので、既存のシートを撤去する必要はなかったのですが、あまりに凹凸がひどく、取り除くことになりました。
通気シートを接着剤でつけたら、その上に塩ビシートを重ねます。
塩ビシートは写真のようなディスクで固定していきます。これで下地は完成です。
次はドレンの改修を行い、既存の排水溝に水が入り込まないよう、新しいドレンを塩ビシートに熱風気を使って溶かしつけました。
塩ビシートも、熱風気を使って結合部や端部を固定していきます。
入隅や出隅は、日光や1日の温度差で収縮しやすいため、強度補強のためにパッチで固定します。
下地に取り付けたディスクと塩ビシートを、ディスクヒーターを使って固定したら完成です。
施工に3日かかりましたが、シート防水は塗装防水とは違い、天候に左右されずに施工できるのが魅力です。
まとめ:定期的なメンテナンスで屋上防水の耐用年数を延ばそう
屋上防水の耐用年数を延ばすためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
小さな傷のうちから修繕をしたり、トップコートのメンテナンスなどによって屋上防水を保護したりしましょう。
防水費用を詳しく知りたい人は「屋上防水における種類別の費用相場を大公開!安く工事をする方法も紹介」もチェックが必要です。
※当日のご来店予約については、お電話にて直接ご連絡頂けますようご協力をお願い致します。