ALCとヘーベルの違いからメリット・デメリット、費用を紹介
ALCは住宅に使用される建築材料のことです。
木造の一軒家だけではなく、ビルの外壁にも使用可能な強度をもっています。
塗り壁や、サイディングは主に外壁でのみ使用されますが、ALCの場合、床や、部屋の間仕切りにも使用できます。
この記事では、ALCとヘーベルについて以下のことを解説しています。
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- ALCとヘーベルの違い
- ALCの特徴
- 他の外壁と比較した際のメリットとデメリット
- ALCの費用とメンテナンス方法
まずは「ALCとヘーベルの違い」について詳しく説明していきます。
なお、ALCではなくサイディングの塗装を知りたい人は「40坪の自宅を外壁塗装した場合の費用相場を工程別で教えます!」をご覧ください。
ALC以外の建築材料についても知りたい方は「最適の外壁材を選ぼう!外壁材の種類と特徴について」をご覧ください。
外壁塗装の基礎を知りたい場合は「初めての外壁・屋根塗装をご検討の方へ」もご覧ください。
ALCとヘーベルの違いや特徴
ALCとへーベルの違いは、外壁素材の名前か商品名かの違いです。
- ALC:外壁で使用する建築材料
- ヘーベル:「旭化成建材株式会社」独自のALC
他にもALCの商品はありますが、実質的にはシェア率が高いヘーベルをALCと呼ぶことが多いです。
この記事ではALCとへーベルを同じものとして説明していきます。
ALCは「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の略です。
「圧力をかけて気泡を作ることで軽量化させたコンクリート」のことです。
一番の特徴は耐久性でしょう。
メンテナンスをしていれば60年は利用可能とされています。
築32年の住宅の耐久性調査の結果を確認すると、強度に問題がなかった実例もあります。
ALCは大きなパネル状の形をしていて、並べたり敷き詰めたりすることで、外壁や、床、部屋の間仕切りに使用します。
セメントが原料である外壁素材は、ALC以外に「サイディング」があります。
ALCとサイディングの厚みの違いは以下のようになります。
- サイディング:14mm前後
- ALC:薄型でも外壁用は100mm
「厚みがあって硬くても、衝撃があれば割れてしまうのがALC」と考える人もいます。
ALCの内部は、鉄筋が網目状にはりめぐらされています。
鉄筋の網が衝撃を吸収し、割れを最小限でとどめる役割を果たしているので心配ありません。
網が入っている窓ガラスと同じような構造ですね。
ALC(ヘーベル)の種類
ALCには、一般パネルとコーナーパネルの2種類があり、それぞれに薄型と厚型があります。
薄型は厚さが35mm以上75mm未満で、主に木造や鉄骨造に使われます。
厚型は厚さが75mm以上の鉄骨造や鉄筋コンクリート造など耐火建築物(防火設備を備えた建物)に使用される場合が多いです。
また、ALCパネルは、表面に加工されているものとされていないものがあります。
普通のつるっとした表面を持つパネルを平パネル、レンガやチェックなど柄が付いたものは意匠パネルと呼ばれます。
ALCは、デザイン性に乏しいと言われますが、意外にバリエーションがある外壁材だと言えるでしょう。
ALCを作っているメーカー
ALCはヨーロッパで生まれで、日本には1960年代に製造技術が導入されました。
当初は5社が製造していましが、現在では3社のみになっています。
この記事で紹介しているALCは旭化成建材株会社のものですが、他に「シポレックス」の住友金属鉱山シポレックス株式会社と、「クリオン」のクリオン株式会社があります。
旭化成建材株式会社「ヘーベル」の種類
ALCとして一般的なのが、旭化成建材株式会社から出ている「ヘーベル」です。
このヘーベルには3つの種類があるのをご存知ですか?
「ヘーベル」は厚さ75mm以上のALCパネルで、この他に厚さ50mmの「ヘーベルライト」、そして35mmの「ヘーベルパワーボード」があります。
ヘーベルは厚型なので鉄骨造の住宅や工場などに、ヘーベルライトは商業施設や集合住宅、ヘーベルパワーボードは木造住宅に用いられます。
どのALCも「ヘーベル」と呼ばれがちですが、ヘーベルにも種類があったり、他のメーカーのALCも含まれていたりする可能性があることを覚えておきましょう。
ALC(ヘーベル)のメリット
ALCは、塗り壁やサイディングと比較して以下のメリットがあります。
- 断熱性が高い
- 耐久性が高い
- 防火性が高い
- 防災性が高い
- 遮音性が高い
- 再利用ができる
以下でそれぞれ説明していきます。
断熱性が高い
断熱性が高い材料として杉がありますが、ALCは無数の気泡で空気の層をつくることで、杉と同程度の断熱性をもつと考えられています。
下図はALCと、サイディング、塗り壁の下地であるモルタルとの断熱性の比較表です。
旭化成によると、ヘーベルの断熱性能はモルタルの約15倍、窯業系サイディングの約5倍もあります。
耐久性・耐火性・防災性が高い
外壁材ごとの耐久年数を比較すると以下のようになります。
どの壁も定期的なメンテナンスが必要という注意点がありますが、ALCの寿命が長いことがひと目でわかります。
ALCの原料はセメントなので発火することがなく防火性も高いです。
外壁以外に、床、部屋の間仕切りにALCを使用すると、それだけ延焼のリスクが下がるでしょう。
台風などの災害にも強いのがALCです。
国内最大クラスを超える台風を想定して雨風にさらす実験をしても問題がなかったほどです。
ヘーベルの住宅は、周囲の家が流されるなかで鬼怒川の氾濫にも耐えられることで注目を集めたこともあります。
遮音性が高い
音を通さないためには、音を吸収するか、はねかえす必要があります。
ALCは音をはね返す性質と気泡で吸収する性質をあわせもつことで遮音性を高めています。
また、ALCは塗り壁やサイディングよりも重量があるため、音の振動を弱めることで部屋の内部に音が伝わりづらいことも考えられます。
再利用ができる
ALCは2種類の方法で再利用できます。
- 外壁と床、骨組みを残してリフォーム
- リサイクル
耐久年数が高いため、外壁のALCや床を残したまっさらな状態(スケルトン)にして、新たに家を作り直すことが可能です。
廃材となったALCは屋上緑化向けリサイクル軽量土壌になります。
木材は腐ったり、折れたりすることで再利用ができない場合が多いので、ALCは環境にも優しい材料と考えられます。
ALC(ヘーベル)のデメリット
外壁は、風雨や日光で劣化していきます。ALCも他の外壁も同じです。
半永久的に使用できるALCも、決してメンテナンスをしなくてもいいわけではありません。
ALCには以下のデメリットがあります。
- 水に弱い
- つなぎ目が多い
- 傷がつきやすい
- 費用がかかる
それぞれについて説明します。
水に弱い
メリットが多い気泡ですが、内部に水がたまってしまうデメリットがあります。
防水処理が取れてALCがむき出しの状態になると家の構造内へ雨水が浸入する可能性があります。
浸水は電気のショートや、家の劣化、腐食を進行させるためALC以外の外壁でも注意が必要です。
浸水を防ぐには防水性のある塗料で表面をコーティングすることがおススメです。
つなぎ目が多い
ALCは「30〜60cm×4~6m」の長方形をしています。
パネルを張り合わせて施工するため、同じ工法のサイディングと比べてもつなぎ目が多くなります。
ALCは吸水性がよくてつなぎ目が多いので、メンテナンスの際は防水処理が重要です。
傷がつきやすい
丈夫なので意外に思うかもしれませんが、ALCは傷がつきやすいです。
尖ったモノでぶつけると簡単に表面に傷ができてしまいます。
塗り壁に起こりがちなクラックのように、家の内部にまで影響を与える傷はほとんど付きません。
しかし、吸水性がよいため塗装などで防水処理を施す必要はあります。
モノを運ぶ際にはぶつけないように気を付けましょう。
費用がかかる
ALCは設置時に他の外壁と比べて費用がかかります。
費用の目安としては以下をご覧ください。
ただし、耐久年数が塗り壁の2倍、サイディングの1.5倍程度なので、初期費用が高い代わりに一生ものという考え方もあるでしょう。
ALCは、サイディングや塗り壁と比較するとデザインのバリエーションが少ないので以下の人に向いています。
- 機能重視の人はALC
- デザイン重視の人はALC以外
デザイン性を重視する場合はサイディング外壁がおすすめです。
外壁のサイディング張り替えについて知りたい人は「サイディングに張り替えるデメリットや費用、工期をチェック!」の記事をご覧ください。
ALC(ヘーベル)の費用相場
ALCは新築だと以下の費用が必要です。
また、メンテナンスだと以下の費用が相場となります。
40坪の一軒家で外壁塗装メンテナンスをする費用相場は80~150万円程度です。
一軒家における外壁塗装の見積もり詳細は「40坪の自宅を外壁塗装した場合の費用相場を工程別で教えます!」で詳しく解説しています。
ALC(ヘーベル)のメンテナンス方法
ALCは防水処理がとれてしまうと、内部への浸水と、それに伴う爆裂が起こりやすくなります。
爆裂とは、ALCなど、外壁内部の金属がサビて膨らみ、外壁を破壊することです。
塗り壁やサイディングの場合は、クラックなどひび割れから家の内部へ浸水してしまいます。
各外壁のメンテナンス推奨の周期は以下となっています。
他の外壁は10年周期であるのに対し、ALCは15年メンテナンスをしないですむ場合もあります。
初期費用が割高でもトータルではオトクかもしれませんね。
素材ごとのメンテナンス方法は以下にまとめました。
どの素材も家の内部に浸水することで、電気のショートや、柱の腐食が起こって家の劣化が早まります。
ALCのメンテナンスは以下の工程で施工します。
- 下地処理
- シーリング
- 外壁塗装
それぞれの工程を詳しくチェックしてみましょう。
1.ALCの表面の傷や欠損を補修する
美観的な観点もありますが、欠損をそのままにしておくと、外壁の負荷のバランスが崩れてしまいます。
欠けた部分に負担がかかることで外壁へのダメージが増してしまいます。
2.ALCのつなぎ目(目地)をシーリング補修することで防水処理
シーリングとはゴムみたいに弾力性がある柔らかい素材です。
防水機能の他に、建物のショック吸収という重要な役目があります。
建物は地面の揺れに対してきしむことでバランスを保っています。
きしむ際に外壁同士が直接ぶつかると、外壁の割れや欠損につながるため、シーリングでショックを吸収しているのです。
3.ALCの表面を防水性のある塗料で再塗装する
ALCには撥水性がなく、塗装することで表面の浸水を防いでいます。
シリコン塗料またはフッ素塗料による塗装がおススメです。
ALC外壁の塗装施工事例
ALCの施工事例をご紹介します。
足場設置、高圧洗浄、そしてシーリングなどのメンテナンスに加え、ALCの外壁や屋根を塗装した住宅になります。
ALCの塗装や他のメンテナンスも一緒にするのを考えている人は、ぜひ参考にしてください。
足場・養生
まずは足場を設置し、メッシュシートで養生をおこないます。
養生については手を抜かずしっかりしてもらわないと、水や塗料が隣の住宅に飛び散り、トラブルになりかねないので注意が必要です。
シーリングの補修
養生、洗浄が終わったら、窓や塗料が飛び散らないように再度養生をし、シーリングを補修します。
シーリング補修には、既存のシーリング材を取り出してから補修する「打ち替え」と、既存のシーリング材の上から補修する「増し打ち」があります。
この工事では、既存のシーリング材を全て取り除いた「打ち替え」をされています。
ALCは、他の外壁材に比べて分厚く、最後に目地の上にも塗装をするので、シーリングを補修するだけで防水効果がアップします。
ALC外壁の塗装
屋根を塗装してから、ALC外壁の塗装に入ります。
下塗り、中塗り、上塗りで塗装をしていきます。
この工事では厚みがある下塗り材を使用しており、傷やひび割れ、凹凸があっても塗り損ねず、きれいに仕上げることができました。
中塗り、上塗りは同じ塗料を使います。
塗装で一番大事と言っても過言ではないのが、乾燥の工程です。
雨が降っている日や湿気が多い日に塗装をおこなうと、塗膜の耐久性に影響が出てきます。
一般的な外壁塗装では、湿度85%以上、気温が5℃以下の時は乾燥に不向きのため、施工を控える業者が多いです。
2〜3年で塗装が剥がれてくるのを防ぐためにも、雨の日や雨が多い季節は避け、なるべく天気のいい、暖かい日におこなうのがいいでしょう。
塗装後は、軒天や雨樋など、付帯部を塗装して、こちらの工事は終了です。
ALC(ヘーベル)は10~15年ごとにメンテナンスが必要
ALCやサイディング、塗り壁などの主要な外壁素材はメンテナンスをしなければ長持ちしません。
最低でも10~15年に一度のメンテナンスをおススメします。
※メンテナンスについて詳しく知りたい方は、「長く住める家のためにメンテナンスの必要性やコツを知ろう」もあわせてご覧ください。
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