外壁塗装で使われる塗料の種類や選び方について
外壁塗装で使われる塗料にはさまざまなものがあります。
外壁塗装業者は施工主の要望に合わせて塗料と工法の最適な組み合わせを選択しているわけですが、
説明を聞いてもわからない場合が多いと思います。
ここでは納得して施工を頼むためにも、外壁塗装業者からの説明を理解するために、
最低限必要な塗料の知識についてご紹介します。
≪一緒に見たい記事≫外壁塗装で使う塗料の選び方を初心者でもわかるように解説!
塗料の成分について
まず塗料を構成する成分を見ていきましょう。多くの場合、塗料の成分は以下から構成されています。
合成樹脂、添加剤、顔料、溶剤
これらの成分は、合成樹脂は耐久性、添加剤は機能、顔料は色にそれぞれ影響しています。
そしてそれらの成分を溶かしている液体が溶剤です。
塗料の合成樹脂による分類
塗料の主成分による分類はおおむね以下の通りです。価格はアクリル樹脂系塗料が一番安く、
フッ素樹脂系塗料が一番高いです。また、耐久性についてもアクリル樹脂系塗料が一番低く、
フッ素樹脂系塗料が一番高くなっています。
ちなみに耐久性と価格はアクリル樹脂系とフッ素樹脂系塗料との間に2倍以上の差があります。
・アクリル樹脂系塗料
・ウレタン樹脂系塗料
・シリコン樹脂系塗料
・フッ素樹脂系塗料
次に各樹脂の特徴を見ていきましょう。
アクリル樹脂系塗料の特徴
アクリル樹脂系塗料(以下、アクリル)は4つの主成分の中では最も価格が安い塗料ですが、
発色が良く色のバリエーションも豊富です。また、重ね塗りしやすかったり、
下塗りが不要であったりと、扱いやすいところもメリットとして挙げられます。
ただし、紫外線に弱く耐用年数は5~7年と短めです。また、塗膜が硬くひび割れが生じやすいです。
アクリル樹脂系塗料は外壁塗装の費用を抑えることができ、以前は外壁塗装で使われる
塗料の主流でしたが、そのあと高性能の塗料が続々と登場したため現在は外壁塗装でアクリルを
使用することは少なくなりました。
※詳しい内容は「アクリル樹脂塗装の特徴とメリット・デメリット|ほかの塗料との違いは?」をご覧ください。
ウレタン樹脂系塗料の特徴
ウレタン樹脂系塗料は、アクリル樹脂系塗料についで価格が安く、弾力性、密着性に優れています。
そのため、外壁の細かいすきまにも入っていきやすく、コーキングしきれない小さなひび割れを
埋めていくことができます。
しかし、シリコン系樹脂塗料に比べると寿命が短いため最近ではあまり使われていません。
寿命は8~10年ほどです。木製ベランダや建物の木の部分など、防水が必要な箇所の塗装工事に
部分的に用いられることが多いです。
※詳しい内容は「ウレタン樹脂なら低コストで塗装できる!メリット・デメリット、向いている人を紹介」をご覧ください。
シリコン樹脂系塗料の特徴
シリコン樹脂系塗料は、価格と耐久性のバランスが良く、現在、外壁塗装で頻繁に使われている主流の
塗料です。そのため外壁塗装業者に工事を依頼すると、まずシリコン樹脂系塗料を勧められる場合が
多いです。
撥水性も高く汚れにくいため、寿命もアクリル樹脂系やウレタン樹脂系に比べると長く、
10~15年ほどです。
フッ素樹脂系塗料の特徴
フッ素樹脂系塗料は、とにかく耐久性が高く寿命は15~20年くらいです。その分、高額にはなりますが、長い目で見た場合には、建物のメンテナンスのコストを下げることができます。
価格は高いですが予算にゆとりがあれば検討の余地があります。
※詳しい内容は「フッ素樹脂塗装はここがすごい!特徴やメリット、ほかの塗料との違いを解説」をご覧ください。
高性能塗料の種類
高性能塗料とは、セラミック塗料(無機塗料)、遮熱塗料、光触媒塗料など機能性がある塗料の
ことです。塗料の種類や地域によっては高性能塗料を用いた外壁塗装工事をすると補助金が出る
場合もあります。
高性能塗料は価格が高い反面、一般的な塗料にはない機能を持っているため、
予算にゆとりのある人は一考の余地があるでしょう。
セラミック塗料とは、塗料を劣化させる日光に含まれる紫外線に反応しないセラミックを配合した
塗料のことで、さまざまな機能を持つ塗料です。「無機塗料」に分類される場合もあります。
セラミックビーズが配合されたセラミック塗料を外壁に塗ると、断熱・遮熱効果が高まります。
セラミックビーズの中心が空洞になった球体状のため、塗膜表面で中空層という空間をつくります。
それにより、屋内と屋外の熱の移動を制限できるため、断熱・遮熱効果が見込めるというものです。
ちなみに、セラミック塗料は表面に凹凸を付けることができる種類もあるため、
石材調の仕上げにすることも可能です。
遮熱塗料は太陽の熱を遮断・反射する機能を持ちます。それにより、室温の上昇を抑えることが
できるのです。室温の上昇が抑えられれば、夏場の冷房費を下げることもできるかもしれません。
このため、省エネリフォーム補助金の対象となる自治体もあります。
光触媒塗料は塗料に配合された酸化チタン(光触媒)の作用によって、太陽光や水との化学反応を
促進することで、塗膜表面の汚れのもととなるホコリなどを有機分解し、汚れを落としやすくする
塗料です。つまり、自浄作用の機能を持った塗料といえます。
なお、外壁塗装業者によっては「万能」「寿命は半永久的」といった宣伝をするところもありますが、
実際の寿命はベースになる主成分(シリコン樹脂、フッ素樹脂が多い)によっても変わってきます。
つまり、合成樹脂が劣化して寿命に近くなると、やはり塗り替えが必要です。
≪一緒に見たい記事≫工場の暑さ対策には遮熱塗料が効果的って本当?おすすめ塗料や塗装費用を紹介
≪一緒に見たい記事≫遮熱塗料には節約効果がない?性能が高いと評判の遮熱塗料も紹介!
≪一緒に見たい記事≫光触媒で塗装するのは待って!メリットとデメリット、費用を解説
添加剤について
つぎに添加剤について見ていきましょう。
1液型か2液型か
塗装の前に塗料をシンナーや水でメーカー推奨濃度に薄めますが、このとき硬化剤がもともと入っており、シンナーや水を混ぜるだけで使えるものを1液型、硬化剤が入っておらず、シンナーや水と混ぜる際に硬化剤を加えなければならないものを2液型といいます。
1液型は価格が安いほか、保管しやすく、混合の手間もかかりません。2液型は硬化剤との配合比率を微妙に変えることによって外壁の状況や、日当たり具合、地域などに合わせた塗料を配合できます。配合を行う職人さんの腕が問われますが、2液型の方がより地域の特徴に合わせた塗装が可能であるため高い耐久性を発揮することができる場合があります。
硬化剤の種類によって塗装の弾性にも影響を与えます。1液型でも高い弾性を持った塗料もあります。そのため、ひび割れの補修に弾性塗料が使われる場合もあります。また、建物の木の部分は空気中の湿気によって微妙に伸び縮みするので弾性のある塗料が向いています。
ツヤ消しや透明の塗料もある
通常の塗料は「ツヤあり」ですが、好みに応じてツヤ消し剤を入れることができます。ツヤ消し剤の量によってツヤ消し具合を調整できます。なお、ツヤ消し剤を入れるとその分耐久性に寄与しない成分の比率が増加することになるため、若干耐久性が低下してしまいます。そのため、ウレタン樹脂系塗料ではなく、耐久性の高いシリコン樹脂系塗料かフッ素樹脂系塗料を選択するといいでしょう。
また、色のついていない透明の塗料も存在します。外壁のもともとの色を出したければ透明塗料を用いた塗装を検討してみると良いでしょう。その場合、下塗りをしないため通常の外壁塗装よりも塗りの回数が減るため、工期を短縮できることもあります。
≪一緒に見たい記事≫「外壁をクリア塗装するメリットや費用相場、注意点を知ろう!」をご覧ください。
油性塗料と水性塗料の違いについて
油性塗料を薄めるにはシンナーなどの有機溶剤を使うのでどうしても塗料独特の臭いがします。
そのため、住宅密集地での塗装にはあまり勧められませんが、耐久性は水性塗料に比べると高い
傾向があります。
また昔から使われていて実績があるので、手堅く工事を行いたい場合に選択するといいでしょう。
水性塗料は乾くときに空気中の湿気の影響を受けるため、湿気の少ない時期の外壁塗装工事に向いて
います。また、油性塗料に比べると耐久性も若干低めですが、近年では油性塗料に近い耐久性を誇る
ものも開発されています。
また、有機溶剤特有の臭いがしないというメリットがあるため、住宅密集地でも使用しやすいという
特徴があります。また、シンナーなどの有機溶剤を使わないので、家族にアレルギー症状のある人が
いる場合にも向いています。価格も水性塗料の方がおおむね安い場合が多いです。
塗料についての最低限の知識は知っておきましょう
外壁塗装について基本的なことは知っておけば、外壁塗装業者との打ち合わせや見積もりのときに
相手の説明を理解したり、こちらの要望を伝えやすくなったりするはずです。自分の要望をしっかりと
外壁塗装業者に伝えて、外壁塗装を成功させましょう。
参考:
外壁塗装で知っておきたいセラミック塗料の裏事情 外壁塗装駆け込み寺
外壁塗装のつや有りとつや消し塗料の正しい選び方 はじめての外壁塗装
外壁塗装を透明(クリヤー)塗料で!外壁の色・柄を変えずに塗り替え リフォームジャーナル
水性塗料(水系塗料)のメリットや塗装時の注意点 大日本塗料株式会社
水性塗料と油性塗料の違いは? 耐久性や扱いやすさなどを徹底比較! Paint Navi