2020.7.16

外壁塗装の耐用年数は何年?定期的なメンテナンスで長持ちさせよう

鹿児島市の外装塗装工事

外壁塗装の耐用年数は基本的には塗料の質によって決まります。

しかし家の躯体や外壁材の影響を受けますし、地形や気候といった外的要因によっても変わってきます。

外壁塗装の耐用年数を左右する条件と、劣化を見極めるポイントを紹介します。

建物の耐用年数の考え方

木造住宅の耐用年数は一般的に30~40年程度といわれています。

しかしそれよりも長く人が住み続けている木造住宅も多く存在します。
近年は「メンテナンス計画」「耐震性」「将来のリフォームを視野に入れた構造」などの条件を満たすことで長く住める家を目指す「長期優良住宅」の普及も進んでいます。

長期優良住宅には「メンテナンス計画」が必要であることから分かるように、建物の寿命のためには外壁塗装をはじめとしたメンテナンスが大切です。仮に躯体の寿命が40年や50年の、いわゆる「いい家」を建てても、外壁塗装を怠れば防水機能が低下し、外壁材がひび割れて浸水や腐食の可能性が高まってしまうのです。

建物の耐用年数の要素は「躯体」「外壁材」「塗装」の3つがあります。躯体がしっかりしていれば建物として強度が高いですが、良い外壁材は躯体をより頑丈にします。そして外壁材をコーティングして雨風から守るのが外壁塗装です。躯体や外壁材が長持ちするよう最前線で守っているのが外壁塗装なのです。

なお、木造住宅の耐用年数について「22年」という数字を聞いたことがある人もいるでしょう。これは22年を経過すると価値がゼロになるという、税制上の価値を国税庁が便宜的に年数にしたものですので、実際の建物の寿命を示すものではありません。

外壁材と耐用年数の考え方

薩摩川内市アパートのカビ

外壁材の耐用年数と必要なメンテナンスを種類ごとに見ていきましょう。なお、外壁材に対するメンテナンスは、ここでは外壁の部分補修や外壁塗装とします。

 

≪一緒に見たい記事≫長く住める家のためにメンテナンスの必要性やコツを知ろう

 

 

サイディングの耐用年数

窯業系サイディング

基本の耐用年数は30~40年程度です。セメントと木質系の繊維を練り合わせて固めたもので、耐火性や耐熱性に優れています。セメントは水に弱いため、外壁塗装によって防水性を高めないと外壁材が劣化します。塗装の劣化が現れてきたら早めの塗り替えが必要です。

金属系サイディング

基本の耐用年数は30~40年程度です。金属製の外壁材は防水性がありますが、サビのリスクがあります。また、衝撃に弱いので気付かないうちに凸凹が生じることもあります。

 

サイディングはどれも外壁材としての耐用年数が来たらサイディング自体の張り替えが必要です。張り替えは大がかりな施工になりますので、適切な時期に外壁塗装を行いサイディングの耐用年数を延ばすのが効率的、かつ経済的です。

モルタルの耐用年数

基本の耐用年数は30年程度です。モルタルはセメントに砂と水を混ぜて作り上げた外壁材で、ひび割れしやすい特徴を持ちます。そのため8~10年おきのメンテナンスが必要です。

タイルの耐用年数

基本の耐用年数は40年程度です。タイルは無機質でできているため紫外線や雨風に強いです。劣化がほとんどない外壁材であり、メンテナンスが不要ともいわれています。ただしタイル自体が劣化しなくとも、下地や継ぎ目は劣化します。また、タイルが衝撃を受けて割れることもありますので、そのような場合はタイル交換が必要です。

ALCの耐用年数

基本の耐用年数は50年程度です。主成分はセメントですが内部に細かい気泡を含んでいます。頑丈かつ軽量なコンクリートと考えるといいでしょう。耐熱性に優れていますが、水を吸い込む性質であるため定期的な外壁塗装が必要です。

外壁材だけでなくコーキングの劣化にも注意

多くの外壁で使用されるのがコーキングで、コーキングの耐用年数は10年程度と外壁より短く、外壁塗装と同時にコーキングの打ち直しが必要なことが多いです。ただし環境によっては5年程度でコーキングが劣化してしまうこともあり得ますので、状況によってはコーキング補修を先行して行いましょう。

外壁塗料と耐用年数の考え方

住宅リペア 塗装編

外壁材だけでなく「塗料」の耐用年数についても見ていきましょう。塗料には耐用年数や品質のグレードがあり価格に比例しますので、ここではグレードの低い順に紹介します。

アクリル樹脂系塗料の特徴と耐用年数

耐用年数は5~7年程度です。安価ですが劣化が早いため、外壁塗装業者が使用することはほぼないです。シリコン樹脂系塗料でも「アクリル」と記載がある塗料がありますので、混同しないようにしましょう。外壁塗装業者から「アクリル」と記載された塗料を勧められた場合は、その理由や機能性、耐用年数を確認するといいでしょう。

ウレタン樹脂系塗料の特徴と耐用年数

耐用年数は8~10年程度です。ウレタン塗料は合成樹脂のポリウレタンを主成分とした塗料です。グレードはアクリル樹脂系塗料とシリコン樹脂系塗料の間で、シリコン樹脂系塗料が主流になるまでは人気の塗料でしたが、近年はあまり使われることはありません。

なおベランダや屋根において、防水を目的としてウレタン樹脂系塗料を使用することがあり、これは一般的に「ウレタン防水工法」と呼ばれる施工です。

シリコン樹脂系塗料の特徴と耐用年数

耐用年数は10~15年程度です。シリコン樹脂系塗料は主成分である合成樹脂がシリコン樹脂でできた塗料をいいます。シリコン樹脂系の塗料は大きく「1液型」と「2液型」の種類があり、2液型はより耐久性が高く、塗れる材質が幅広くなります。そのため同じシリコン系樹脂塗料でも2液型の方が価格は高くなります。

外壁塗料としては現在最も使用されている塗料のため商品の種類が豊富です。1液型、2液型の違いだけでなく、機能・色・ツヤ(光沢)などが違うさまざまな塗料があります。特徴をよく確認したうえで塗料を決定します。

ラジカル制御系塗料の特徴と耐用年数

耐用年数は12~15年程度です。ラジカルとは外壁の劣化を早めてしまう成分のことで、そのラジカル(劣化成分)の発生を抑えて制御することができるのが「ラジカル制御系塗料」です。シリコン系樹脂塗料よりも価格は高くなりますが、防藻性、防カビ性、防汚性などに優れています。

注目の塗料ではありますが、2012年に登場した塗料のため実績はまだ多くありません。また、一番のメリットであるラジカル制御機能は、白色の顔料に対して発揮するため、淡い色でないとラジカル制御機能が働きません。塗料としての実績を重視する人や、濃い色で塗装をしたい人には不向きかもしれません。

フッ素樹脂系塗料の特徴と耐用年数

耐用年数は15~20年程度です。塗料の主成分である合成樹脂に蛍石を原料としたフッ素樹脂を使った塗料です。一番の特徴は、耐久性、耐候性の高さですが、防藻性、防カビ性にも優れています。また「親水性」の性質を持つため、外壁に付着した汚れを雨水で洗い流せます。

高い機能性を備えたフッ素系樹脂ですが、それゆえに価格は高めです。耐用年数が長いので、長い目で見れば施工の総回数を抑えられコストダウンできます。しかし「外壁の耐用年数があと数年」「近いうちに建て替えをするかもしれない」など、耐用年数が残っているうちに張り替えや取り壊しの可能性があるケースでは慎重に検討しましょう。

外壁塗装の劣化を見極めるには

外壁縦目地コーキングの様子

外壁材や塗料の耐用年数を見てきましたが、外壁の劣化は外的要因にも影響されます。例えば塩害や雪害、台風など気候や天候によるものです。さらにシロアリや害獣なども耐用年数を短くする要因になります。天候や災害などにより「今年は外壁の負担が大きかった」と思うときは、異常や劣化がないか、自身の目で確認してみることをおすすめします。

劣化を早期発見するためのセルフチェック

  • チョーキング

塗料成分の分解により塗料が粉状になり外壁を触ると手に白い粉がつく。

  • 塗膜の「浮き」や「はがれ」

塗膜が浮いたりはがれたりすることで外壁を守る機能が失われている。

  • ひび割れ

ひび割れはクラックとも呼ばれ、ひび割れの部分から浸水や腐敗が生じる可能性がある。また、コーキングのひび割れにも注意。

  • 外壁の汚れ

汚れは放置すると塗膜の劣化を進ませる。カビや藻の発生、ひび割れなどの症状に進行する可能性がある。

このような状態は塗装の耐用年数が終わりかけている兆候です。早めに外壁塗装を行い、外壁や躯体を守っていきましょう。

外壁塗装を定期的に行うことで家の寿命を延ばす

都城市外壁塗装工事の様子

※塗料についての詳細は「外壁塗装で使われる塗料の種類や選び方について」をご覧ください。

躯体や外壁材の耐用年数に目安はありますが、環境によっては目安より短くなることも考えられます。逆に外壁塗装を適切な時期に行うことで耐用年数を延ばすことが可能です。普段から注意していれば、外壁劣化の兆候を事前に察知することができるはずです。必要な時期を見極め、耐用年数を延ばす外壁塗装を行いましょう。

 

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