アパートの屋根のメンテナンスと修繕について
屋根は建物の一番上にあるので普段あまり目にすることがなく、状態がわかりにくいためにメンテナンスの必要性を忘れがちかもしれません。しかし屋根のメンテナンスを怠ると建物に雨漏りが生じたり、アパートの構造に問題が生じたりする可能性があります。そういった事態にならないよう定期的なメンテナンスをする必要があるのです。アパートの屋根のメンテナンスについて解説します。
まずはアパートのメンテナンスや修繕など全体像について知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
アパートの屋根におけるメンテナンスの必要性
すべての建物にとって屋根のメンテナンスは重要ですが、特にアパートについては必要性が高いです。というのも、アパートの屋根を長期間放置してしまうと、雨漏りが発生するリスクが高まるからです。
もし雨漏りが発生したら家財が水にぬれてしまったり、修繕工事により入居者の生活に制限が生じてしまったりして、大きな損害が生じてしまいます。雨漏りはクレームだけでなく損害賠償に発展してしまうことにもなりかねないので、しっかりメンテナンスしていく必要があるのです。
なお、屋根が原因の雨漏りで費用を負担するのはオーナーです。アパート経営の立場からもメンテナンスは重要でしょう。
さらに、屋根の状態はアパートの入居率も左右します。入居を検討しているときには屋根を含む外観をシビアにチェックするはずですので、屋根の劣化が激しいのはマイナス要因になるのです。部屋の設備や間取りも重要ですが、それと並行して外観の保全も行っていきましょう。
アパートの屋根の種類
屋根の一般的なメンテナンスでは10年に一度点検をして、必要に応じて修繕や屋根塗装を行います。屋根材によって特徴や価格帯が異なりますので、代表的な4つの屋根材について紹介します。
屋根材1 スレート屋根
主材質はセメントですが、薄く加工されているため軽量です。軽量であるため建物への負担が少なく、価格も1枚当たり4,000~8,000円程度とお手ごろです。現在主流の屋根材となっており、通常はどの業者でも取り扱いがあって、カラーバリエーションも豊富です。
ただし、ほかの屋根材に比べてひび割れしやすく、セメントですので水を吸収しやすいです。さらに、塗装が劣化してしまうと、防水機能が失われて苔やカビが発生しやすくなります。防水機能を保つためには定期的に点検して「ひび割れ補修」や「屋根塗料」を行う必要があります。
屋根材2 瓦屋根
粘土を使った焼き物の屋根材です。いくつか種類がありますが、瓦表面にガラス質の「釉薬(ゆうやく)」をコーティングしたものが一般的です。コーティングによって美しいツヤが生まれ、かつ高い耐水性を有します。カラーバリエーションが豊富で、色やツヤが劣化しにくいためメンテナンスの頻度は低いです。
メンテナンス不要で長く美しさをキープできる瓦屋根ですが、価格は幅があり1枚当たり8,000~12,000円程度です。また、施工できる業者が限られる点にも注意が必要です。
屋根材3 ガルバリウム鋼板の屋根
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムや亜鉛、シリコンで構成された「アルミ亜鉛合金メッキ鋼板」でできた板のことです。アルミニウムの長期耐久性と、亜鉛の犠牲防食機能を合わせ持った、従来の鋼板よりもさらに耐久性の高い鋼板です。また軽量なので建物への負担が少ない特徴もあります。
価格は1枚当たり6,000~9,000円程度と、スレート屋根よりもやや割高ですが、その分耐用年数も長いです。さらに、ガルバリウム鋼板は20年以上の長期にわたりサビを防ぐとされています。
状況によっては20年より前にさびてしまう可能性もあります。例えば屋根の形状が複雑で屋根に水がたまってしまう、物の飛来によって外傷が生じてそこから腐食が始まってしまうといったようなケースです。長期耐久性が特徴とはいえ過信しないようにしましょう。
屋根材4 トタン屋根
トタン屋根とは、薄い鋼板に亜鉛をメッキした屋根材です。軽量で建物のへの負担が小さく価格も安いためかつては人気がありました。しかし金属ですのでサビやすく、7~10年の周期で塗装が必要になります。そのため現在は需要が減少傾向で、同じ金属屋根材としては「ガルバリウム鋼板」に人気が移ってきています。アパートの屋根塗装は頻繁にできるものではありませんので、アパートの屋根材としては避けた方がいいでしょう。
アパートの屋根のメンテナンスと修繕方法
アパートの屋根は定期的に点検を行い、屋根の状態に応じたメンテナンスや修繕をします。建築から数年の早い段階ならば、点検だけ行うこともありますが、10年以上経過している場合は塗装や修繕を前提にした点検となるでしょう。点検では屋根の耐水性の確認や破損の有無、継ぎ目の劣化などを確認していきます。
アパート屋根の部分補修
アパートの屋根全体のメンテナンスは不要でも、風による物の飛来によって屋根の一部が破損することもあります。その場合は屋根材を1枚だけ交換するような修繕も可能です。屋根全体のメンテナンスよりも費用が抑えられるのでおすすめです。ただし、経年劣化によるひび割れの場合はひび割れが生じている屋根材だけを交換しても、ほかにも次々とひび割れが発生する懸念があります。経年劣化による破損で部分補修を行うときはあくまで応急処置と考えます。
屋根の部分補修ができる業者を探す際は、部分補修だけでなく屋根全体のメンテナンスや補修ができる業者を選びましょう。アパート経営を行っていく場合、一時的には屋根の部分補修ですんでも、いずれ全体的なメンテナンスが必要になるため、末永く付き合える優良業者に工事をお願いするようにしましょう。
アパート屋根の一般的なメンテナンスは「塗装」
塗装の必要性が低い瓦屋根もありますが、「フラット35住宅仕様実態調査報告」によると平成29年度の瓦屋根のシェアは20%にも達しません。そのため、一般的な屋根のメンテナンスは屋根材への塗装といっていいでしょう。ガルバリウム鋼板をはじめとする金属製屋根材(トタン屋根は含まない)のシェアは37.8%、スレート屋根は32.7%となっています。
塗装の目的は主に防水処理で、塗装の全体の費用目安は一般的なアパートの場合130~170万円程度です。ただし、塗料の種類によって費用は変わってきます。基本的に価格が高いほど塗料の耐用年数が長く、塗料別の耐用年数は次のとおりです。
ウレタン樹脂系塗料
- 耐用年数 8~10年
- 費用相場 1,800~2,200円/平方メートル
シリコン樹脂系塗料
- 耐用年数 10~15年
- 費用相場 2,500~3,200円/平方メートル
フッ素樹脂系塗料
- 耐用年数 15~20年
- 費用相場 4,000~4,500円/平方メートル
耐用年数は長い方が望ましいのですが、屋根材の寿命が差し迫っているならば塗料の耐用年数を長くしてもあまり意味がありません。点検で屋根材の状態と予算を見ながら業者と相談していきましょう。
なお、塗料工事ではコーキングのひび割れや雨どいの確認なども一緒に行います。傷み箇所が多ければ費用も大きくなりますので事前の見積もりが重要です。
アパートの屋根全体の補修
屋根の傷みが激しい場合は重ね葺き(カバー工法)や張り替えを行います。
- 重ね葺き(カバー工法)
既存の屋根の上に新しい屋根材をかぶせる工法です。既存の屋根をはがす手間がなく工期と費用を抑えることが可能です。しかし、屋根の重量が増えてしまうため、耐震性能が低下する懸念があります。また、屋根の下地や内部が劣化しているケースでは選択できません。
- 張り替え
既存の屋根材をはがして新しい屋根材に置き換える工法です。屋根材をはがすため下地までしっかりと点検、補修ができます。しかし重ね葺きと比較すると既存屋根材の撤去費用がかかりますし工期も長いです。
屋根の形状や傾斜にもよりますが、価格が抑えられる重ね葺きでも200万円以上かかる可能性があります。
アパート屋根の修繕費用を抑えるコツ
大規模な工事になる張り替えや重ね葺きは、費用が数百万円単位になるため屋根が傷む前に塗装で屋根を守っていきたいところです。しかし塗装の費用も安いわけではありません。工事費用を圧縮する方法として外壁塗装と屋根塗装を同時に行う方法があります。
アパートの塗装工事は足場設置だけで20~30万円程度かかるため、外壁塗装や雨どいの交換なども一緒に工事する方が経済的で、入居者にとっても工事の回数が減るメリットがあります。ただし、経済的と言っても1回の総工事費は大きくなるため計画的に修繕費を積み立てておくことが重要です。
外壁と屋根の塗装を同時にする場合は、建設当時から屋根の塗料グレードを外壁塗料よりもワンランク上にしておくことをおすすめします。屋根は外壁よりも多く直射日光や風雨にさらされるため、外壁よりも劣化のスピードが速いとされているためです。屋根の塗料グレードを上げることで次回の塗装時期をそろえやすくなります。
<一緒に見たい記事>アパートの外壁塗装を成功させるポイントや費用について
アパートの屋根は劣化が進むと費用が大きくなる
屋根に限ったことではありませんが、劣化が進むと修繕にかかる費用が大きくなります。屋根は見えにくい箇所だからこそ定期的にメンテナンスを行って劣化を防ぎたいもの。その際は屋根だけでなく外壁塗装も含んだメンテナンス計画を立てておくといいでしょう。
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参考: