モルタル外壁の多彩な仕上げの種類と注意点
現在、新築一戸建てにおける外壁材の主流はサイディングですが、以前の主流であったモルタル外壁の家もまだ多くあります。また、新築でも仕上がりが多彩なモルタルにこだわる人もいるでしょう。サイディングとモルタルの違いやモルタルの仕上げについて解説します。
モルタルとサイディングの違い
仕上がりの多彩さが魅力のモルタルですがサイディングとはどのような違いがあるのでしょう。
モルタルとサイディングそれぞれの特徴
簡単に言うとモルタルは「塗る」外壁です。下地木材に、「防水紙」「断熱材」「ラス網」などを加え、その上から「セメント」「水」「砂」を練り合わせたペースト状の素材(モルタル)を現場で塗っていきます。なおラス網とはワイヤーが波状の金網で、モルタルを付着させるための網です。
一方サイディングはボード状の外壁材です。工場で細長いボードを製造、生産し、現場に運んで施工します。サイディングにもいくつかの種類がありますが、最も普及しているのが窯業(ようぎょう)系と呼ばれるサイディングです。塗布するモルタルと違い、「間柱」「断熱材」「防水紙」「胴縁」などの上にサイディングボードを留め付けていきます。サイディングボードのデザインは多彩で、工場で生産されるため品質も安定しています。ただし施工の際にサイディングボードのつなぎ目が生じます。
モルタルとサイディングは「仕上げ」の工程が大きく異なる
サイディングは原則として、留め付けたあとは外壁を塗装するのみです。一方モルタルは、モルタルを塗って完成するわけではなく、モルタルに仕上げ材を塗る作業があります。それが一般にモルタルの「仕上げ」と呼ばれる工程です。
モルタルは「仕上げ」の工法やデザインの種類が豊富で、好みに合わせて施工を依頼できます。職人が手作業で作業するのも特徴のひとつでしょう。なお、モルタルは防水性能が弱くひび割れしやすい性質です。そのため塗装は必ず必要ですし、完成後も定期的に外壁塗装を行います。
※モルタルについて詳しく知りたい方は「モルタルの外壁塗装にかかる費用や注意点!後悔したくないなら要チェック」、サイディングについては「サイディング外壁は素材によって価格や耐久性が異なるってホント?」や「サイディング塗装をする時期や注意点、費用、工事事例を公開!」をご覧ください。
その他の外壁材についても知りたい方は「最適の外壁材を選ぼう!外壁材の種類と特徴について」もあわせてご覧ください。
モルタルの仕上げについて
仕上げの種類と特徴について工法ごとに紹介します。
仕上げ1 吹き付け工法での仕上げ
塗材の種類に応じた専用の吹き付け器具で壁面に塗料を吹き付けます。砂壁状や凹凸状などさまざまな模様があり、代表的な仕上げは次の3つです。
- リシン仕上げ(砂壁状模様)
骨材と呼ばれる細かく砕いた石や砂に、樹脂やセメント、着色剤などを混ぜたものを吹き付けて施工します。塗料に骨材が入ることで、表面がざらざらした砂状に仕上がります。吹き付ける石の大きさで模様の粗さを調整可能です。また吹き付けたあとに職人が手作業で表面を削る「掻き落とし仕上げ」もあります。掻き落としは表面が削られるため、やや落ち着いた仕上がりになります。
※リシン仕上げについての詳しい内容は、「外壁をリシン仕上げにする費用相場やポイント、デメリットを解説」をご覧ください。
- スタッコ仕上げ
リシン仕上げと同様に、吹き付ける塗料の中に骨材をまず入れますが、使用する骨材はリシン仕上げよりも大きめです。塗料は4~10mm程度と、リシン仕上げよりも厚く仕上げることが可能です。厚みの分重厚な外壁に仕上がります。
- 吹き付けタイル仕上げ(ボンタイル)
タイルとありますが、陶器のタイルを貼り付けていくわけではありません。紙粘土のような練り物素材を外壁に吹き付ける工法です。仕上がりは硬質でつやがあり、その点がタイルと類似しているため「吹き付けタイル仕上げ」と呼ばれます。リシン仕上げよりもしっとりとした外観ですので、重厚感と高級感が欲しい人に向いているでしょう。
※吹き付けタイル仕上げについての詳しい内容は「吹き付けタイル仕上げの特徴と費用相場、他の工法との比較情報を解説!」をご覧ください。
どれも吹き付け工法での仕上げであるため一定量の塗料が飛散します。作業そのものは早いのですが、養生を丁寧に行う必要があります。また、塗料特有のにおいや機械音も避けられないため、家が密集している地域では注意が必要です。
仕上げ2 ローラー工法での仕上げ
ローラー工法は主流の仕上げ方法です。前述した「吹き付け工法」と比較すると塗料の飛散や騒音の問題がないですし、養生の手間も軽減できます。ローラー工法には外壁が波型の「ゆず肌ローラー仕上げ」やより小さい模様の「スチップル仕上げ」などの模様があります。
ローラーの種類には主に次の2つがあります。
- マスチックローラー
マスチックローラーとは円柱にスポンジ状の繊維を取り付けたスポンジ状のローラーです。スポンジ部分が塗料を大量に取り込むため、塗料の含みがよく、粘性塗料を塗布できます。厚塗りすることで外壁を補強し、ひび割れのような劣化を防ぎます。また、塗料の粘性や厚みを活かして表面に凸凹の模様を作り上げることが可能です。
※マスチックローラーについての詳しい内容は「マスチックローラー仕上げの特徴と注意点、費用相場を解説」をご覧ください。
- ウールローラー
ウールローラーは毛状のローラーで、一般住宅の塗り替えで広く用いられています。ローラーの大きさが複数あるほか、毛丈の長さも「短」「中」「長」があります。毛丈が短いものはきめ細かな仕上がりになり、毛丈が長いものは広い面を大きく塗ることが可能で、毛丈が中のものは、短、長の双方の特徴を備えたバランスが良いローラーなので、それぞれの特徴によって使い分けて塗っていきます。
ウールローラーは厚塗りには向かず、大きな模様は作りにくいです。しかしながら細やかな模様を作ることが可能です。また、ウールローラーは既存の外壁をメンテナンスする際に、もとのモルタル外壁の模様を活かして塗装できます。マスチックローラーは塗料に厚みがあるため大きな模様が作れますが、もとの外壁の模様があってもそれを残すことができません。
仕上げ3 コテ工法での仕上げ
職人がコテを使って模様を付ける仕上げです。広い面を塗りやすい四角いコテ、仕上げ用の先が細いコテ、モルタルにくし目を入れられるようギザギザになっているコテなどがあり、用途に応じて使い分けます。
仕上げの模様は数多いのですが、あえて模様をつけない仕上げもあります。また、シンプルでほのかな模様も素材感を引き立てるのでいいでしょう。大きな模様がなくとも、素材に味があるため表情のある外壁を作ることが可能です。
職人の技術によってさまざまな模様を施せるのが魅力ですが、仕上がりの完成度も職人の技術により左右されるため、実績のある外壁塗装業者に任せたいところです。
モルタル仕上げの注意点
サイディング外壁のようにコーキングの補修は必要ありません。また、モルタルは砂やセメントなどの不燃材料を使用しているので耐火性にも優れています。
一方で防水性はなく、ひび割れしやすい特徴があります。ひび割れは放っておくと水が浸入し、雨漏りや躯体の腐食につながります。また、凸凹状の模様を施したモルタル外壁は、汚れが模様に入り込みやすく汚れやすいうえ、汚れだけでなく水分も入り込みやすいため、カビや藻の発生にも注意が必要です。
総合的に、モルタルはこまめなメンテナンスが必要と言えます。ただし適切な外壁塗装を行うことで防水性を備えることができますし、ひび割れもある程度防止することが可能です。
外壁塗装は10年を目安に行いますが、個々の家によって必要なメンテナンス時期は異なります。というのも新築時、もしくは前回使用した塗料の耐用年数に応じてメンテナンスするべきだからです。外壁に使用する塗料の耐用年数はグレードによって違いますが10~15年程度ですので、期限が近くなったらひび割れや塗料の浮き、剥がれがないか確認しておきます。
※メンテナンス時期について詳しくは「外壁塗装の耐用年数は何年?定期的なメンテナンスで長持ちさせよう」や「外壁塗装が必要な時期は?目安と兆候を事前に知っておこう」をご覧ください。
モルタル外壁で外壁塗装を行う場合のポイントは次のとおりです。
- 事前調査をして補修を確実に行ってから塗装を行う
- 模様の奥に汚れが付着している可能性があるので洗浄は念入りに行う
- モルタル外壁はひび割れが起こりやすいため塗装には弾力性のある塗料を選ぶ
- 汚れが気になる場合は防汚性やセルフクリーニング効果のある塗料を選ぶ
モルタル仕上げの良さを生かそう
意匠性に優れたモルタルは根強い人気があります。現在モルタル外壁の住宅に住んでいる人は長く住めるようにメンテナンスしましょう。そして外壁塗装をする場合は、モルタルと相性が良く、かつモルタルの弱点を補うような塗料を選んでいくのがポイントです。新築住宅でモルタル外壁を検討している人は、ここで述べたような注意点を知ったうえで選ぶといいでしょう。
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参考: