2020.11.20

屋根塗装の相場や工程を確認しよう

屋根塗装

 

家の屋根は普段見ることはないため、雨漏りでもない限り劣化には気付きにくいものです。また目にする機会が少ないためか、屋根塗装の必要性や塗装時期についても知らない人は多いかもしれません。しかし、屋根塗装は家を守るために必要なメンテナンスのひとつです。屋根塗装について知っておきたいことを広く紹介します。

屋根のメンテナンスや屋根塗装の必要性について

屋根は家にとって非常に重要な部分のため、メンテナンスについて知っておくことが大切です。

屋根のメンテナンスの必要性とは

屋根は劣化に気付きにくい部分ですが、紫外線や雨風、降雪や飛来物など、厳しい環境下で家を守ってくれる大事な存在です。日本には四季があるため、梅雨の時期は湿気や雨、夏は台風や集中豪雨、冬は雪など、常にストレスにさらされていて、寒さと暑さの双方に耐えなければなりません。

このような状況の中では経年劣化は避けられないため、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスを怠ると色あせやコケの繁殖などで見栄えが悪くなるだけでなく、雨漏りの原因になったり、最悪、屋根材が落下するリスクが高まったりします。

屋根材には屋根材ごとの耐用年数がありますが、メンテナンスによって屋根材の寿命を伸ばすことができるため、必要な時期にしっかりとメンテナンスを行っていきたいところです。

屋根のメンテナンスといえば屋根塗装

屋根のメンテナンスとしては、屋根の状態を確認する「点検」、屋根材の耐久性を維持する「屋根塗装」、部分的な修繕や交換を行う「補修」などがあります。なお、点検は無料の業者もあれば有料の業者もあります。「できれば無料で行いたい」と考える人も多いでしょう。しかし、点検の価格よりもその後に実施するメンテナンスの方が重要です。そのため点検費用の有無を気にするよりも、施工をしっかりしてくれる業者を選んでいきましょう。

一般的に屋根のメンテナンスというと「屋根塗装」をイメージすることが多いようですが、それは適切な時期に屋根塗装を行い、補修がいらない状態を保つのが理想的だからです。逆にメンテナンスを怠ると、補修や屋根塗装では補えないほど劣化が進んでしまう可能性があります。

劣化が激しくなってしまうと、屋根材をすべて取り替えるような大がかりなリフォームが必要になるかもしれません。大がかりなリフォームは費用も工事期間も長くなるため、そうなる前にメンテナンスで屋根をしっかり守っていく必要があるのです。

屋根塗装が必要なタイミングとは?

屋根塗装を行う時期の目安は8~10年おきといわれています。しかし、塗料によっても耐用年数は変わりますし、状況によっても劣化の速度は違ってきます。主な塗料の耐用年数と特徴を紹介します。

屋根塗装における塗料の耐用年数

代表的な4種の塗料についてグレードごとに紹介します。基本的にグレードの高さは耐用年数の長さと価格に比例します。

グレード1 ウレタン樹脂系塗料

  • 耐用年数8~10年

価格帯は低いものの耐用年数は短めです。以前は主流の塗料でしたが、耐用年数の短さから近年はあまり使用されなくなってきています。しかし耐用年数が数年間で十分な家であれば、グレードをあえて高くしなくてもいいでしょう。具体的には「数年以内に建て替えや葺き替えを予定している」「数年後に外壁塗装が必要になるので、そのときにあらためて屋根塗装も考えている」といったケースではウレタン塗料でもいいでしょう。

グレード2 シリコン樹脂系塗料

  • 耐用年数10~15年

費用と耐久性のバランスが良く、一般住宅でよく使用される塗料です。紫外線に強く防汚性にも優れています。ただし、やや弾性が低くひび割れしやすい傾向があります。また、種類が豊富ですのでシリコンの含有率や水性か油性かによって価格も耐用年数も変わってきます。「人気のシリコン塗料なら間違いない」と思わず、塗料ごとの性質をよく理解したうえで塗料を選びましょう。

グレード3 フッ素樹脂系塗料

  • 耐用年数15~20年

シリコン塗料以上に耐用年数が長い塗料です。熱や紫外線に強い「耐熱性」、水で汚れを落としやすい「親水性」のほか、防カビ性や防水性も優れています。ただし、シリコン塗料と同じように塗料の種類による差があります。価格帯が高い塗料だからこそ、耐久性や性質をよく確認しましょう。

グレード4 無機塗料

  • 耐用年数20年以上

無機塗料とは石やガラスなどの無機物を取り入れた塗料です。無機物は紫外線にさらされても劣化が起こりにくく、熱にも強いため耐用年数が非常に長いです。当然価格も高くなりますが、メンテナンス回数を抑えることができるため、トータルで考えれば必ずしも「高い」わけではありません。資金に余裕があれば検討してもいいでしょう。

※屋根塗装の塗料について詳しくは「屋根塗装における塗料の種類と選び方のポイント」をご覧ください。

屋根の劣化を判断するには

塗料の耐用年数はあくまで目安ですので、耐用年数よりも早く屋根が劣化することもあります。屋根の状態が気になる場合でも、専門家以外の人が屋根にのぼるのは危険なのでおすすめできません。地上から見える範囲で確認するだけにしましょう。

屋根の劣化には次のような症状があります。

  • 屋根の割れや欠け
  • 塗装の剥がれや色あせ
  • 藻やコケの発生
  • 屋根材が浮いたり瓦がずれたりしている
  • 強風や飛来物により屋根材の一部が飛散

目視して気になる箇所があれば専門家に相談しましょう。基本的には専門家の点検でメンテナンスするかどうか判断しますが、雨漏りのような実害が発生しているときは被害拡大を防ぐためにも早急なメンテナンスが必須です。

また、屋根塗装をするときは季節も重要です。塗装は塗料の性質上「気温5℃以上、湿度85%未満」でないとできないですし、降雨中も塗装ができないからです。「そろそろ屋根塗装が必要かな」と思ったら、屋根塗装に向いている春や秋に塗装ができるよう、その少し前に点検を依頼するといいでしょう。

≪一緒に見たい記事≫初心者でもわかる屋根塗装工事の時期の見分け方!劣化サインを見逃すな

屋根材ごとの特徴や耐用年数について

塗料だけでなく屋根材にも耐用年数があります。また、屋根材によっては塗装そのものが不要の場合もあります。3種類の代表的な屋根材について紹介します。

屋根材1 化粧スレート

安価で軽量なため最も普及している屋根材で、「カラーベスト」や「コロニアル」などの商品名で呼ばれることもあります。スレートには「天然スレート」と「化粧スレート」がありますが、通常はスレートというとセメントが主成分の化粧スレートをいいます。

化粧スレートの耐用年数は20~30年位程度ですが、セメント自体に防水性がないため、定期的に屋根塗装で防水性を保つ必要があります。使用している塗料の耐用年数をしっかり把握しておきましょう。

また、屋根の頂点にある「棟板金」もメンテナンスの必要性が高いものです。高い位置にある棟板金は、強風の影響を受けやすく、棟板金を固定している釘も朝夕の気温差によって劣化しやすいからです。屋根塗料の耐用年数が10年以上で目に見える劣化がないようでも、棟板金が劣化している可能性があります。スレート屋根の場合10年おきを目安に点検してもらうといいでしょう。

屋根材2 ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板は軽量でさびにくい金属です。軽量なため地震に強いほか、加工のしやすさや耐熱性の高さに特徴があります。一方、防音性や遮熱性は低いです。

例えば「海風の吹く地域では耐用年数が短い」「薄いので衝撃に弱い」など状況にもよりますが、一般的な耐用年数は20~40年程度です。環境により差はありますが、屋根塗装のメンテナンス時期は10~15年程度と長めです。

屋根材3 瓦屋根

瓦は材質や成型方法によりさまざまな種類がありますが、一般住宅で使われるのは「粘土瓦」です。瓦の素材によって耐用年数が異なり、粘度瓦の耐用年数は50年以上といわれています。ただし、衝撃によって割れることがありますし、屋根の「ルーフィング(防水シート)」の耐用年数は20年程度なので、少なくとも20年に一度はメンテナンスが必要です。

詳細は後述しますが、粘土瓦の一種である「陶器瓦(釉薬瓦)」の場合はほとんどが屋根塗装は必要ありません。一方セメントが主成分の「セメント瓦」は、セメントに防水性がないため屋根塗装が必須です。材質ごとに特徴の差が大きいですので、特質を理解してメンテナンスする必要があります。

※それぞれの屋根材の特徴について「マイホームの屋根材を選ぼう!屋根材の種類ごとの特徴とは?」で詳しく紹介しております。

屋根の形状とメンテナンスについて

屋根のメンテナンスでは屋根の形状も影響します。屋根の形状によって雨漏りのリスクが変わるからです。全体の傾向として、以下のような特徴がある屋根が雨漏りに強いとされています。

  • シンプルな構造の屋根

屋根と屋根との接合部や、屋根と外壁の接合部は雨漏りのリスクが増すため、シンプルな屋根の方が雨漏りに強いです。

  • 傾斜のある屋根

平坦な屋根よりも水はけがいいので雨漏りしにくいです。

  • 軒先の長い屋根

軒先が短いと軒先と外壁の結合部から雨水が入り込みやすく雨漏りのリスクが増します。

続いて、「屋根の形状」によるメンテナンスのしやすさや雨漏りリスクを見ていきます。ここでは代表的な4つの形状について紹介します。

  • 切妻(きりづま)

頂上部からほぼ同じ大きさの2面が伸びた屋根で、本を開いて逆さまにしたような形状です。シンプルで比較的雨漏りには強くメンテナンスもしやすいです。

  • 片流れ

1枚の屋根が一方向に傾斜している屋根です。メリハリのある外観に仕上げたり、屋根裏に大きなスペースを作ったりできます。シンプルな形でメンテナンスもしやすいとされます。ただ、軒先のない側の外壁は日光や雨が当たりやすいため、外壁が劣化しやすいです。また一方の屋根が雨をすべて引き受けることになるので、負担が大きくなりがちです。雨どいも一方に偏るため、負担も大きいでしょう。

  • 寄棟(よせむね)

左右に2面、前後にも2面と4つの屋根面で構成され、頂上部に「大棟」と呼ばれる水平部があり、落ち着いた印象の外観が得られます。雨風を4面で受けるため、屋根への負担が分散され劣化に強いです。

  • 方形(ほうぎょう)

寄棟と同じく4つの屋根面ですが、頂上部に大棟はなく、ピラミッドのような形状です。屋根への負担が分散され、寄棟と同様に雨風には強いです。しかし、大棟や頂上部などの「結合部」は雨漏りしやすい部分ですのでメンテナンスは必要です。

なお、住宅金融支援機構の「【フラット35】住宅仕様実態調査報告(平成29年度)の概要」によると、屋根の形は片流れが増えているという報告があります。これは太陽光発電を設置しやすいことと、外装材や外壁材の耐久性が高まったことが背景にあるようです。今後も技術の進歩により屋根の形や雨漏りリスクの有無は変わってくるでしょう。

屋根の形状が複雑だと点検を念入りにしなければなりませんし、屋根塗装の工程も時間がかかりがちです。つまり屋根の形状が複雑だと手間がかかる分、値段が高めで工期も長くなることを知っておくといいでしょう。

屋根塗装の相場と見積書の見方

屋根塗装を行う場合の相場と、見積書を見る際のポイントを紹介します。

屋根塗装の相場

屋根塗装の相場は、一般的な30坪程度の家なら「35~60万円」といわれています。費用に幅があるのは、工事費用はさまざまな要因によって決定されるからです。しかし、工事費用の基本は「面積×塗料代」ですので、広さと塗料のグレードである程度は価格帯が絞れます。

それ以外にも「形状」によって工事費用は違ってきます。例えば、急勾配の屋根であれば屋根用の足場が必要になることがあります。また、複雑な屋根であれば塗装面積が増えますし、補修箇所も多くなりがちです。そのため屋根塗装を依頼するときには、何にどの程度の費用がかかるのか知るために見積書のチェックは重要です。

≪一緒に見たい記事≫屋根塗装の相場と費用が変わる要素をチェック

屋根塗装の見積もりのチェックポイントは?

屋根塗装の見積書を理解するためには、内訳を知っておくといいでしょう。工事費用の内訳は主に以下の3つに分けられます。

  1. 塗料代
  2. 足場代
  3. 工事代(人件費)

この3つにさらに業者の必要経費や利益が上乗せされます。3つの項目ごとに見積書のチェックポイントを紹介していきます。

1 塗料代

塗料の種類と面積に応じた使用量が記載されているか確認します。前述のとおり、塗料には主に「ウレタン塗料」「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」の4種類がありますが、それぞれ価格グレードが異なり、グレードが高ければ費用も高くなります。

塗料のグレードだけではなく「使用する塗料名」「塗装回数」「使用量(面積)」がすべて記載されているのかも確認します。

また、雨どいや軒天など付帯部分を塗装してもらえるとは限らないため、付帯部分のメンテナンスと塗装の有無を相談し見積書に反映させてもらいましょう。

2 足場代

「足場一式」といった表記ではなく、詳細が書かれているか確認します。書式は業者ごとに異なりますが面積に応じた数量と単価が記載されているといいでしょう。「架設と撤去双方を含めた価格であるか」「飛散防止ネットといった項目もあるか」なども見ておきます。

3 工事代(人件費)

屋根塗装は高圧洗浄、ケレン、養生など細かい工程があります。見積もりも作業工程ごとに分けて記載されているか確認してください。マスキング費用やシーリング工事費などの諸経費が記載されているかも確認します。なお、屋根材によって工程は変わるため、工事内容の説明も受けるといいでしょう。

「項目に抜けや漏れがないか」「面積や単価は適正なのか」をチェックするのは簡単ではありません。ひとつの見積書だけでは良しあしもわかりにくいので、比較のために相見積もりを取ることをおすすめします。

相見積もりをすると、業者によって工事費用の差が生じるでしょう。仮に費用が高めの見積もりであったとしても、家の状態を見て高グレードの塗料をおすすめしていたり、必要な補修をしっかり盛り込んだりしているからかもしれません。

価格だけではなく、わが家の屋根塗装にとって良い提案をしてくれたり、工事内容を相談できたりするのも大事です。塗装業者を比較することでより良い選択をしていきましょう。

≪一緒に見たい記事≫外壁塗装の業者を決める時に知っておきたいポイント

屋根塗装の工期・工程について

屋根塗装にかかる日数は10日程度です。主にスレート屋根の工程について紹介します。

工程1 足場の設置

足場は職人が安全で効率的に作業できるように設置するものです。また足場があれば飛散防止ネットで覆うこともできます。

工程2 養生

剥がした塗装や塗料などが飛び散らないように飛散防止ネットで覆ったり、塗装しない部分に養生シートをかぶせたりする作業です。屋根塗装する家だけでなく隣接する家や駐車場の車などに施すこともあります。

工程3 屋根の高圧洗浄

高圧洗浄で屋根をきれいにする作業で、コケやその他の汚れをしっかり落とすことで、塗装の密着度を高めます。

工程4 下処理

塗装前のメンテナンスや補修を行います。具体的には屋根材の剥がれや浮き、サビ、ひび割れの補修などです。下処理は通常は1日程度ですみますが、屋根の状況によっては1日以上かかる場合があります。

工程5 下塗り

屋根を塗装する回数は一般的に「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回です。そのうち下塗りは中塗りと上塗りの塗料を密着させるために行います。

工程6 タスペーサー挿入

スレート屋根の場合では、タスペーサーという部材を挿入して屋根と屋根の間に隙間を作ります。雨水の排水口を作って水がたまらないようにするのが目的で、換気を促し内部結露を防ぐ効果もあります。

屋根と屋根の間をカッターで切って隙間を作る方法もありますが、誤って屋根を傷付ける可能性もあるので慎重に行う必要があります。手間は最終的に人件費としてコストに上乗せされるので、近年はタスペーサーを使用するようになってきています。

工程7 メイン塗装(中塗りと上塗り)

メイン塗装は2回の重ね塗りを行います。中塗り、上塗り各1日程度です。

1回目を中塗り、2回目を上塗りと呼ぶことが多いですが、なかには1回目と2回目の塗装を合わせて「メイン塗装」と表現したり、最後の塗装以外を「中塗り」と言ったりする塗装業者がありますので、全体で何回塗るのかを確認するといいでしょう。

工程8 点検と足場の解体

最後に点検を行い、塗りムラや塗り残しがないかチェックします。問題がなければ足場を撤去し屋根塗装は終了です。

メイン塗装は2日、それ以外の工程は1工程1日が目安です。土日をはさむことを考慮して、全体で10日と考えるといいでしょう。ただし天候にも左右されるため、もう少し長く見積もっておくと安心です。

塗装が不要な屋根材について

屋根材によっては塗装が不要の場合があります。大きく「塗装をしなくても問題ない屋根材」と「塗装の意味がない屋根材」に分けられますが、順に紹介します。

塗装が不要な屋根材

塗装をしなくても品質に問題ないのは粘土瓦のうち「陶器瓦(釉薬瓦)」と言われるものです。粘土を瓦の形にかたどり、釉薬(うわ薬)をかけて高温で焼き上げているため、釉薬による色ツヤの良さが特徴です。釉薬はガラス質なので水が浸透しにくく、色あせもしにくいため屋根塗装は不要とされています。

塗装の意味がない屋根材

一方、「塗装の意味のない屋根材」は屋根の劣化が激しい場合です。劣化が激しいと屋根塗装をしても状態が改善しないので、時間とお金をかけて塗装する意味がないのです。

劣化が激しい場合の例

  • 屋根全体にひび割れや破損があり屋根の強度が弱っている
  • 屋根全体に塗装の剥がれがあり屋根材に水が浸透している
  • 屋根の下地が傷んでいる

劣化が激しい場合は後述するカバー工法や葺き替えを行います。

屋根のアスベスト問題とは

通常、屋根は少しずつ劣化していくので、適切な時期に屋根塗装を行えば屋根の耐久性を保つことができます。しかし2000年前後に使用された屋根材のなかには、特に劣化の進みが早い屋根材があります。これはこの時期に建築基準法によってアスベストが規制されたことに起因します。

アスベストは健康被害を起こす可能性がある素材ですが、屋根材にとっては機能性を向上させる有益な素材でした。それが建築基準法の規制により使用できなくなり、機能が落ちる屋根材が出回った時期があるのです。

アスベストの入っていない屋根材を「ノンアスベスト」と呼びます。現在では改善されましたが、ノンアスベスト屋根材が出始めた当初は耐久性の低いものが見られました。10年程度で劣化が進み、塗装をしても耐久性を保てないものもあり、細かなひび割れや欠損のほか、屋根材の層の剥離といった劣化が通常よりも激しいものもありました。

アスベストが含まれた屋根材には適切に対応する

耐久性の低いとされるノンアスベスト屋根材は2000年代頭には製造が終了しています。現在はノンアスベストでも耐久性が向上しているので問題ありませんが、築15年以上の家に住んでいる人は屋根材の耐久性が気になるかもしれません。

耐久性の低いノンアスベスト屋根材は主にスレート屋根ですが、一部瓦屋根にも該当するものがあります。自宅の屋根材の耐久性について心配になったら、家を建てた工務店や建設会社に屋根材の「商品名」と「一般的な耐久性」を確認してみるといいでしょう。

規制以前の屋根材の多くにはアスベストが含まれているため、自宅の屋根材にアスベストが入っていることも考えられます。該当しそうな屋根の場合は「このまま住んでいて大丈夫なのだろうか」「今後建て替えやリフォーム時にアスベストを飛散させてしまうのではないか」などの不安を感じるかもしれません。

国土交通省(※)によると、一般住宅の建材にアスベストが含まれていても通常の生活で健康被害を受けることは考えにくいとされています。通常の生活でも健康被害が懸念されるアスベスト建材もなかにはありますが、戸建て住宅で使用される例は少ないです。とはいえ、不安がある場合は家を建てた工務店や建設会社に確認しておくといいでしょう。

また、アスベストが使用されている屋根の解体やリフォームには注意が必要です。アスベストが含まれている建材について知識がある業者を選び、安心・安全な工事を行いましょう。

※参考:アスベスト対策Q&A – 国土交通省

劣化が激しくて塗装ができない屋根の対処法

屋根の劣化が激しく「塗装ができない」「塗装をしても意味がない」ケースでは、「カバー工法」もしくは「葺き替え」が必要です。

カバー工法(重ね葺き)

カバー工法は、既存の屋根に新たな屋根材を重ねる工法のことです。屋根材の撤去と処分がないため、葺き替えよりは費用が抑えられます。しかし、すでに下地が傷んでいるような場合には根本的な解決が難しいのでカバー工法は向きません。

また、屋根を重ねるため屋根重量が増えてしまうので、重ねる屋根材は軽量なものを選ぶ必要があり、使用する屋根材に制限がかかります。

葺き替え

葺き替えは、既存の屋根を撤去し新しい屋根に付け替える工法です。費用はカバー工法よりもかかりますが、屋根の下地まで補修や交換ができるため、屋根をより良い状態にできます。今までが重い屋根材だったものを軽量な屋根材に交換することによって耐震性能が上がる可能性もあります。また、屋根材を新しくすることで家のイメージチェンジもできるでしょう。

屋根のメンテナンスはこまめな点検と屋根塗装が基本ですが、劣化が進んでしまった場合はカバー工法や葺き替えを検討してください。

屋根塗装は自宅の屋根のことを理解してから行う

屋根塗装は屋根の代表的なメンテナンスですが、屋根材や塗料によって塗装すべきタイミングが異なります。また、屋根の形状や塗料によって費用も変わってきます。屋根材や塗料については個人では調べにくいので、専門業者の意見を参考にしながら、適切に屋根塗装を行い屋根と家を守っていきましょう。

 

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