効果的な「断熱リフォーム」の種類・費用・ポイントを解説
住宅性能の代表的な要素のひとつが「断熱性能」です。
断熱の役割は以下の2つです。
- 夏の暑さを住居内へと侵入させない
- 冬の寒さを防ぐ
断熱性能は住宅の経年劣化によって効果が低下します。
断熱性能を回復させるための対策となるのが「断熱リフォーム」です。
この記事では、効果的な断熱リフォームの方法や費用相場、工期などを紹介します。
効果的な「断熱リフォーム」とは何か?
効果的な断熱リフォームとは「断熱性」と「吸音性」を回復できる工事だと言えます。
住宅の断熱性能をもたらしてくれるのが「断熱材」と呼ばれる建材です。
断熱材には「気泡」と「空気層」が含まれています。
気泡と空気層の作用によって熱が伝わりにくくなるのです。
断熱材は、年月の経過とともに
材料自身や周辺部材の重みによって圧縮され、気泡や空気層が減少します。
気泡や空気層が減ってしまうと断熱性能も低下してしまいます。
また、「水分の増加」「カビなどによる影響」なども断熱材を劣化させる要因となっています。
断熱材の機能性に関しては住宅の使用状況や地域環境によって違いがあります。
築5年を目安に劣化が加速度的に進んでいくでしょう。
多くの住宅では断熱材が「吸音性能」を兼ね備えています。
吸音性能は経年劣化とともに低減するでしょう。
経年劣化で衰えた断熱性、吸音性を回復できる工事が断熱リフォームには必要なのです。
断熱リフォームの効果を高めるのに大切な3つの要素
効果的な断熱リフォームを行うために、認識しておくべき大切な3つの要素があります。
- 「部分的」ではなく「全体的(壁・床・窓・天井)」な断熱リフォームをする
- 内装リフォームと併せて検討する
- 「丁寧な施工」を重視した施工会社選びをする
それぞれ詳しく解説していきます。
「全体的(壁・床・窓・天井)」な断熱リフォームの実施
断熱性能を回復する目的でリフォームを行いたいのであれば、
壁や床、窓、天井と行った住宅の全体的な断熱リフォームを計画・実施することが効果的です。
特定の部屋の壁など、気になる箇所のみをリフォーム対象としたいと考える人もいるでしょう。
しかし、「断熱性能」では一部分のリフォームは効率が悪くなりやすいです。
断熱材の劣化は住宅全体で進行する傾向があります。
断熱性の劣化に伴う「熱の流入」は、壁・天井・床下などの様々な部位から生じてきますので、
部分リフォームだと、あまり断熱効果が感じられないケースが多いです。
断熱リフォームは、断熱効果が感じられてこそ意味のあるもの。
住宅の全体的な断熱リフォームを前提として、まずはリフォーム計画を進めてみましょう。
内装リフォームも併せたリフォーム計画
一般的な戸建て木造住宅の大半が「内断熱工法」で作られています。
「内断熱工法」というのは、
「居室側の壁(内装壁)の中」「天井裏」「床下」に断熱材が設置されている施工方法のことです。
基本的な断熱リフォームは、既存の断熱材を新しい断熱材に取り換えるというもの。
断熱リフォームを行う場合は、内装の壁・床材をはがすこととなるのです。
ただし、天井は部分的な除去で対応可能です。
断熱リフォームで内装の壁や床材を取り壊すのであれば、
天井や壁、床の内装変更も併せて検討した方が効果的なリフォームとなるでしょう。
効率的に工事するためには「断熱リフォーム」と「内装リフォーム」は同時に計画しておきましょう。
「丁寧な施工」を重視した施工会社選び
断熱材には、様々な種類がありますが、現代日本の一般的な木造住宅では、
建材として製品化された「断熱材」が使用されています。
ハウスメーカーであっても、
地元の工務店であっても使われている断熱材の機能性には大きな差はありません。
施工するうえで最も断熱性能に影響を与えるのが丁寧な施工(断熱材の設置)であるかどうかです。
製品化されている断熱材を隙間がないように
設置することが断熱性能を大きく左右する要素となるからです。
また、断熱材の種類に関わらず
「防湿シートを適切に活用・施工する(湿気を防ぐ)」ことが断熱性能を維持する上で重要です。
大きい会社かどうかにとらわれることなく、口コミや評判を参考にして
「丁寧な施工」が特徴となっている施工会社を選択してリフォーム計画や工事を依頼しましょう。
断熱リフォームにかかる費用や期間
断熱リフォームにかかる費用や期間の目安は以下のようになります。
- リフォーム総額の費用:250~850万円
- 工期(工事期間):3~5週間
上記は、2階建て木造住宅における断熱・内装リフォームを行う時の費用と工期です。
あくまで参考価格ですので自宅の細かい費用については業者に確認しましょう。
断熱リフォームをする際には、あわせて内装リフォームも行うと効率的です。
さらに、部分的な断熱リフォームでは、
あまり効果が得られないことから、基本は家全体を対象とした工事となります。
ゆえに、断熱リフォームをする上で必要となる「工期」や「リフォーム費用」は、
「家の面積」「部屋数」「内装仕様」「構造」「地域」などによって、大きな差があるのが実情です。
大まかな所有全範囲と仕様など「リフォーム計画条件」を定めた上で、
最低でも3社をピックアップして見積もりを依頼しましょう。
依頼する際には断熱リフォームの概算(工期も含む)を依頼するよう忘れないでください。
断熱リフォームで使う建材の「種類」
一般的な知識として、断熱リフォームにて使用する「断熱材の種類」をご紹介しておきたいと思います。
断熱材は、素材や構造的な要素によって下記3種類に分類されています。
- 天然素材系断熱材
- 発泡プラスチック系断熱材
- 繊維系断熱材
以下ではそれぞれの種類を詳しく説明していきます。
天然素材系断熱材
断熱性の高い天然素材をそのまま使用しているのが「天然素材系断熱材」です。
日本の住宅で断熱材として使用されるケースはほとんどありません。
代表的な素材としては「羊毛断熱材」「炭化コルク」などがあります。
発泡プラスチック系断熱材
プラスチック系の原材料を発泡して板状に製品化した断熱材が
「発泡プラスチック系断熱材」となります。
代表的な素材としては
「押出発泡ポリスチレン」「ポリウレタンフォーム」「高発泡ポリスチレン」などがあります。
繊維系断熱材
「繊維系断熱材」は、ガラスを原料としたガラス繊維を用いた「無機質系断熱材」と
木材や紙を原材料とした植物繊維を用いた「木質繊維系断熱材」に分類されています。
「無機質系断熱材」のグラスウール、
ロックウールは現代日本の住宅にて主力として使用されている断熱材です。
一方で、住宅用断熱材として製品化されている商品の大半が「グラスウール」にて作られています。
価格の安さと断熱性のバランスの良さから高い評価を得ています。
部位別の断熱リフォームのコツ
断熱リフォームは、主に部位別にて4つの要素に分けられます。
- 壁
- 天井
- 床
- 窓
それぞれの断熱リフォームにて、理解しておきたい要点を紹介します。
「壁」の断熱リフォーム
断熱リフォームにて欠かすことができないのが「壁」の断熱材の取り換えです。
最も断熱材が劣化しやすいのが壁だからです。
リフォーム対象となるのは、それぞれの部屋の外壁と接する部分の「内壁」です。
断熱材としては主に建材として製品化された「グラスウール」が活用されます。
施工上の注意点となるのが下記です。
- 隙間が無いように丁寧に断熱材を設置すること
- 防湿シートを適切な形で利用して断熱材が損傷しにくくすること
隙間をなくすことで断熱材の性能は向上します。
また、適切な保湿処理を施さないと、断熱材の劣化が早まってしまうため防湿シートが必要なのです。
「天井」の断熱リフォーム
「屋根」に面した「最上階の天井」や「屋根裏」が断熱リフォームの対象となります。
戸建て住宅の場合、1階よりも最上階のほうが夏に暑くなりやすい傾向があります。
最上階は、屋根に降り注いだ太陽光による輻射熱で、屋根裏の気温が高温となりやすいことが理由です。
暑くなる現象を防ぐ目的で行われるのが「天井」の断熱リフォームとなります。
天井は壁よりも太陽熱の影響を受けやすいことから、
断熱材(主にグラスウール)の厚みを増すように対処するのがポイントです。
一般的なグラスウールの厚みの目安は以下となります
- 壁:厚み100mm
- 天井(屋根):厚み140mm以上
適切な厚みの断熱材を使って快適な室内を実現しましょう。
「床」の断熱リフォーム
施工方法のバリエーションが最も多いのが床の断熱リフォームとなります。
断熱材の設置場所には以下の2パターンがあります。
- 床の構造部材(構造用合板)の上部
- 床の構造部材(構造用合板)の下部
使用する断熱材の種類は主に3つです。
- ポリスチレンフォーム
- 硬質ウレタンフォーム
- グラスウール
住んでいる住宅がどのような断熱材の種類や設置場所を利用しているか調べた上で、
最善の方法を選択していくこととなります。
「窓」の断熱リフォーム
住宅においても最も「熱損失が多い部位」となっているのが窓です。
特にガラスを通じて外部から熱が流出し、室内の温度が低下します。
熱損失が多い部位を対策するという点で、
もっとも効果を実感しやすいのが「窓」の断熱リフォームと言えます。
具体的な対策としては下記2つの方法があります。
- 断熱性の高いサッシに交換
- 既存のサッシの上にリフォーム用の二重サッシを設置する
最適な方法を選んで室内の熱損失を防ぐようにしましょう。
まとめ
断熱リフォームにて大きな効果を得るためには、
部分的な修繕ではなく総合的な断熱リフォームが必要となります。
まずは、総合的な断熱リフォーム計画を施工業者に相談した上で、
必要な内容・範囲を精査していくことが重要です。
費用を詳しく知りたい人や安くする対策は以下で解説していますので把握しておきましょう。