メンテナンスフリーの外壁はない?建設会社がいうメンテナンスフリーの正体
「メンテナンスフリーの外壁は補修が必要ないのだろうか」
「メンテナンスフリーの外壁にもデメリットはあるのか」
こういった疑問を持っている人は多いでしょう。
最近では、マイホームの新築やリフォームの際に建設会社から「メンテナンスフリーの外壁」を勧められることが増えてきています。
理由は、初期費用は高額になるもののメンテナンスフリーなので結果的に安くなるというからです。
メンテナンスフリーが本当なら、最高の外壁材だと言えるでしょう。
しかし、メンテナンスフリーは本当に放置できるのでしょうか?
この記事では、「メンテナンスフリー」に関わる疑問に対して、建設会社の元社員が細かく解説していきます。
記事を読めばメンテナンスフリーについて理解することが可能です。
ぜひチェックして理想の家づくりに活かしてみてください。
メンテナンスフリーの外壁とはどんなもの?
建築会社がいうメンテナンスフリーの外壁とは、耐久性が高く、経年劣化しにくい壁材のことです。
例えば、「タイル」や「樹脂系サイディング」などが有名です。
建築会社が語る「メンテナンスフリー」とは、メンテナンスが他の外壁材よりも少ない素材ということになります。
「完全にメンテナンスがいらない」と勘違いしやすいので注意しましょう。
メンテナンスフリーの外壁の種類
メンテナンスフリーと呼ばれる外壁は3種類あります。
- タイル
- 樹脂系サイディング
- ガルバリウム鋼板
それぞれのメリットやデメリット、どんな人におすすめなのかをご紹介していきましょう。
タイル
自宅を高級感のある佇まいにしたい人にはタイル外壁をおすすめします。
タイルとは、土や石を高温で焼き固めたもので、非常に頑丈なのが特徴です。
衝撃で割れたりしない限り、半永久的に使えると言っても過言ではありません。
タイルのメリット
メリットは以下の4点です。
- 高級感がある
- 非常に丈夫なため、傷がつきにくい
- メンテナンスの手間が少なく、経済的
- 汚れがつきにくい
特筆したいのはメンテナンスの少なさです。
大抵が目地の打ち直しメンテナンスだけですみます。
初期費用こそ高いですが、メンテナンス費用を含めた合計額なら、タイルは窯業系サイディングよりも安いほどです。
タイルのデメリット
デメリットは以下の2点です。
- 初期費用が高額
- 耐震性に不安が残る
タイル外壁の初期費用はサイディング材の1.5倍以上とも言われており、非常に高額です。
また、悪質な業者に依頼してしまうと、手抜き工事や経験不足な職人による施工不良が原因で剥がれる危険があります。
このほか、タイルは重量があるため地震で崩れやすいです。
樹脂系サイディング
建物に負担をかけたくない方は樹脂系サイディングをおすすめします。
樹脂系サイディング外壁は天然塩と石油を原料とするプラスチックのことです。
タイルに比べて非常に軽いのが特徴で、建物に負担をかけないため、建物本体の寿命を長く保つ効果があります。
樹脂系サイディングのメリット
メリットは以下の5点です。
- 耐久年数が長い(約30年)
- 非常に軽い
- 撥水性があるため、寒冷地でも凍結しない
- 海の近くでも塩害に強いため施工できる
- 火事で燃えにくい(発火温度は約450度と高い)
タイルと比べた場合のメリットは非常に軽いことです。
タイルをモルタル(水と土と砂を混ぜた物)で貼る場合、1平方メートルあたり4.5〜7.5kgの重さがあります。
比べて樹脂系サイディングは1平方メートルあたり約2kgと半分以下です。
樹脂系サイディングのデメリット
デメリットは以下の3点です。
- 初期費用が高額
- デザインの選択肢が少ない
- 施工経験のある業者が少ない
日本ではシェア率が低い外壁材になるので、施工経験のある業者が少ないです。
どれほど優れた外壁材だとしても、施工に失敗したら効果は発揮できません。
施工業者が少ない現在は工事を避けたほうが無難でしょう。
ガルバニウム鋼板
価格を抑えたい方はガルバニウム鋼板の外壁をおすすめします。
ガルバニウム鋼板とは、鉄の板に合金を吹き付けた外壁材のことです。
タイルに比べると非常に安価で施工することができます。
ガルバニウム鋼板のメリット
メリットは以下の5点です。
- さびにくい
- 耐久性が高い(25〜30年)
- 耐熱性が高い(耐熱温度が約350度)
- 軽いので耐震性に優れている
- デザインが独特
- メンテナンスフリーの外壁材では最安値
ガルバニウム鋼板の特筆すべきメリットは2つあります。
1つ目は、メンテナンスフリーと呼ばれる外壁の中では最も安いこと。
2つ目は、デザイン性が独特なことです。
価格が安いことも人気の理由の1つですが、独特なデザインにひかれる人が多い外壁材になります。
ガルバニウム鋼板のデメリット
デメリットは以下の4点です。
- 断熱性が低い
- 衝撃に弱い
- 防音性が低い
- 結露しやすい
耐熱性、防音性、結露は対処方法があります。
それぞれ「断熱材の設置」、「遮音材の設置」、「通気性の確保」をすることで軽減できるでしょう。
ほとんどのデメリットは対処方法がありますが、対応が難しいのが衝撃に弱いことです。
ガルバニウム鋼板は非常に薄いため、傷つきやすく、破損部位からさびてしまうことがあります。
さびを防ぐためには、小まめな外壁チェックが必要です。
「メンテナンスフリーの外壁」の価格
メンテナンスフリーと呼ばれる外壁3つの価格を比較してみましょう。
以下は、1平方メートルあたりの価格です。
- タイル:9,000〜12,000円
- 樹脂系サイディング:3,500〜5,000円
- ガルバニウム鋼板:3,000〜5,000円
ガルバニウム鋼板が1番安く、タイル外壁は飛び抜けて高額です。
しかし、それぞれにメリットとデメリットがあるため、価格だけでなく耐久性や特性を比較してからの選択をおすすめします。
まとめ:完全なメンテナンスフリーの外壁はない
建築会社が語る「メンテナンスフリーの外壁」は、メンテナンスが完全に不要というわけではありません。
しかし、高耐久でメンテナンス費用が安く抑えられるのは事実です。
タイル、樹脂系サイディング、ガルバリウム鋼板の3つは、いずれも優れた外壁材ですので、他素材と比較して利用を検討してみてください。
優れた外壁材でも、施工会社が手抜きをすると意味がないので、業者の選択は非常に重要です。
業者選びに失敗しないよう相見積もりをしておきましょう。
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