ユニットバスへリフォームをするときのポイント
浴室のリフォームは15年や20年に一度とスパンは長いものの、リフォーム費用は安くはないため失敗は避けたいものです。在来浴室からユニットバスへのリフォームを検討中の人もいるかと思いますが、そもそもユニットバスや在来浴室にはどういったメリットや特徴があるのでしょう? また現在主流であるユニットバスのリフォーム費用と工事の流れ、さらにはユニットバスと在来浴室との違いについても紹介します。
まずはお風呂のリフォームの全体像を知りたい方はこちらの記事もご一読ください。
“種類や工法がいくつもある! お風呂のリフォームで満足度を上げるコツは?”
ユニットバスや在来浴室とは?
現在お風呂の主流はユニットバスですが、そもそもユニットバスとはどんなお風呂なのでしょう。
また従来の在来浴室の特徴も押さえておきましょう。
ユニットバスのメリットと注意点
ユニットバスとは、あらかじめ浴室の壁や床、天井、浴槽といったパーツを工場で製造し、
これらのセットを現場に持ち込んで組み立てるもので、簡単に施工できることから現在主流の工法に
なっています。ユニットバスの主なメリットは以下のとおりです。
- 防水性の高さ
- 気密性や断熱性の高さ
- 工期が短く費用が抑えられる
- 掃除がしやすい
もともとセットで製造されているパーツを組み立てるため防水性は高いです。例えるならひとつの箱の
ような造りになっているので、気密性や断熱性が高いのです。そのため冬場でも浴室や浴槽が冷えに
くく、また掃除がしやすいといった特徴があります。
リフォーム工事ではパーツを組み立てるだけですので、工期が短く費用を抑えやすいなどのメリットが
あります。
単身者用の賃貸物件では「2点ユニットバス」「3点ユニットバス」などの記載がありますが、
2点ユニットバスは浴室内に浴槽と洗面所が付帯しているもの。3点ユニットバスは、浴室内に浴槽と
洗面所、トイレが付帯しているものを指します。もちろん浴室内に浴槽だけがある場合でもれっきと
した「ユニットバス」です。設備に差はあってもパーツを組み立てる構造そのものに違いはありません。
なお、ユニットバスのうち機能性が高いものを、特に「システムバス」と呼ぶ場合があります。
こちらも構造そのものに違いがあるわけではありません。
機能的にも経済的にもメリットが大きいように感じるユニットバスですが、組み立て式なので、
バリエーションが限られてしまいます。また規格が決まっているため、設置スペースに収まらないと
設置できません。
規格外のパーツをオーダーメードで作ることも可能ですが、
費用がかなり大きくなりますし、注文から完了するまでに時間がかかってしまいます。
在来浴室のメリットと注意点
在来浴室の主なメリットは以下のとおりです。
- デザインの自由度が高い
- 素材も自由に選べる
在来浴室とは壁や床、浴槽などを現場の空間に合わせて組み立てる工法(在来工法)で作られたお風呂
です。通常の部屋に防水工事を施し、浴槽を設置し、仕上げにコンクリートやタイルを貼っていきます。
自由度が高いのが特徴で、材質やデザインにこだわることが可能です。ユニットバスでは窓のデザインが決まっていますが、在来工法なら好みのデザインが可能です。
「ヒノキ風呂にしたい」「浴槽のデザインにこだわりたい」など、自由にお風呂をリフォームしたいな
ら在来浴室が向いています。
ただし、手間がかかる分費用も大きくなり、また機能面でも注意が必要です。
ユニットバスと比較すると防水性は劣りますし、タイルは滑りやすく冬場は冷たく感じられます。
ユニットバスのリフォームの費用と工事の流れ
ユニットバスのリフォームには、既存のユニットバスを新しいものに変えるリフォームと在来浴室から
ユニットバスに変えるリフォームの2種類があります。
ユニットバスをリフォームする費用
まずは、お風呂のリフォーム費用や工事の流れについて、既存のユニットバスを新しいユニットバス
に変えるリフォーム工事を例に見てみます。ユニットバス全体を一新するリフォームの場合の費用目安
は100~200万円です。
平均的なグレードのユニットバスを丸ごと交換するリフォームでしたら100万円前後が目安です。
ただし高性能ユニットバスを選ぶと200万円程度になることも考えられます。
ユニットバスの本体価格の目安(1坪タイプの場合)
- ローグレード 60~75万円
- ミドルグレード 70~90万円
- ハイグレード 90~120万円
浴室が広ければ費用も大きくなります。またハイグレードなユニットバスのなかには、上記の価格帯
を超えるものもあります。リフォーム費用は主に「本体価格」と「工事費用」ですが、工事費用は
工程ごとに細かい施工がありますので、費用を確認するためには必ず見積もりをとりましょう。
なお、ユニットバスの規格には「0.75坪」「1坪」「1.25坪」などがあります。
リフォーム工事の流れ
ユニットバス全体を一新するリフォーム工事の流れは大きく3ステップです。
- ステップ1:従前のユニットバスの解体
まずは家財や床を守るために養生を行います。養生が完了したら古いユニットバスを解体します。
もしも土台や壁の補修が必要なときはこのタイミングで工事します。
- ステップ2:新しいユニットバスの搬入・組み立て
新しいユニットバスを搬入し組み立てます。ユニットバスに合わせた配管工事も行います。
- 工程3:新しいユニットバスの設置と周辺の工事
新しいユニットバスの周辺の壁やドアを工事し、仕上げていきます。
養生が終わり工事に突入すると、水の使用ができないことが多いです。さらに解体作業の最中は音が
発生します。工期は1週間以内が目安ですが、期間が延びることもありますので、工事全体の流れや
注意点についてしっかり説明を受けましょう。
在来浴室からユニットバスへのリフォーム
在来工法の浴室からユニットバスへのリフォームも場合によっては可能です。
ただし次のような注意点があります。
- 注意点1 費用
在来浴室からユニットバスへ変更する際は、ユニットバスからユニットバスへのリフォームの場合と
比較して費用が高くなります。理由としては土台補修、もしくは土台造りが必要になることや、
仕様が大きく変わるために給水・排水管や電気配線の工事も大がかりになるからです。
- 注意点2 サイズ
ユニットバスは「0.75坪」「1坪」「1.25坪」のように、サイズの規格があるので、
浴室とユニットバスのサイズが合わないことがあります。
工事が難しいケースもあるので、自宅の浴室の形状が特殊だと感じている場合は、
最初に在来浴室からユニットバスへのリフォームが可能かどうかを確認しましょう。
- 注意点3 浴室スペース
ユニットバスは、建物と浴室の間に断熱層を作る構造ですので、在来浴室のときと比較して
浴室スペースが狭く感じるかもしれません。その分暖かさを得ることが可能ですが、広々とした
お風呂を好む人は事前にモデルルームで広さを確認して、満足のいくリフォームになるよう留意します。
なお、在来浴室とユニットバスの中間のハーフユニットバスもあります。ハーフユニットバスは、
浴槽や床部分はユニットバスですが、壁は在来浴室のように自由に素材を選ぶことができるものです。
在来浴室の防水性の低さをカバーできるといったメリットがあります。
ただしハーフユニットバスの商品数はそう多くありませんし、ユニットバスよりも費用がかかります。
通常の在来工法よりは費用が抑えられることが多いのですが、壁や窓にこだわればそのまま在来工法に
する場合と同じ程度の費用になることもあります。
ユニットバスのリフォームで失敗しない3つのポイント
費用が適切でかつ満足度が高いリフォームをするポイントとしては、実際に使うときのことを考えて
行うことです。というのもお風呂は毎日入るものなので、日々の暮らしのなかで不満を感じやすいから
です。具体的には以下のような点に留意します。
- ポイント1 ストレスフリーなものを選ぶ
毎日の掃除が楽だとそれだけでうれしいものです。「掃除しやすい」「水はけがいい」
「カビにくい」など、メンテナンスが楽なユニットバスを選びましょう。
- ポイント2 家族みんなが使いやすいデザインにする
使いやすさの象徴といえばバリアフリー化でしょう。バリアフリーは高齢の人だけでなく小さい子ども
にもやさしい造りになっています。たとえ今は小さな子どもや高齢の家族がいなくとも、家族構成が
変化することはあります。将来にわたって満足できるよう、バリアフリーを意識したリフォームを
行うことをおすすめします。
- ポイント3 本当に必要な機能を厳選する
「多機能で高性能なユニットバスが欲しいけれど予算オーバー」となった場合は、その機能や性能が
本当に必要かどうか再考します。せっかくの機能も使わなければ無駄になってしまいます。機能はあれ
ばあるほど「良い」とは限りませんので、毎日のお風呂に本当に必要な機能を厳選して選びましょう。
このほかに、「見積もりをとる」「見積もりのユニットバスの実物を見る」など手間を惜しまないこと
も重要です。見積書は慣れない人にとっては読むのが難しいかもしれませんし、実物をどこに行けば見
られるのかわからないといった人もいるでしょう。そういうときこそリフォーム業者に相談しましょう。
ユニットバスのメリットを生かしてリフォームしよう
現在主流のユニットバスは高気密性や高断熱性などの機能を持っていて、費用は在来浴室よりも抑えら
れます。また工期も在来浴室よりも短くてすみます。このようなメリットがある一方で、デザインの
自由度が低い点や、大きさに規格がある点には注意が必要です。メリットと注意点を知りユニットバス
の良さを生かしたリフォームをしていきましょう。
参考: